03-01: 歌うときの正しい姿勢と呼吸法~お腹から声を出すってどういうこと?~
いよいよ本格的な発声練習の始まりです!良い声を出すためのトレーニングで、まず最初に取り組むべき最も基本的なこと、それは「posture(ポスチャー:姿勢)」と「breathing(ブリージング:呼吸)」です。
「え、歌うのに姿勢や呼吸がそんなに大事なの?」と思うかもしれませんね。でも、考えてみてください。立派な家を建てるには、しっかりとした土台が不可欠ですよね?歌声にとって、正しい姿勢と呼吸はまさにその「土台」なんです。この土台がグラグラしていると、どんなにテクニックを磨こうとしても、安定した良い声はなかなか出せません。
「お腹から声を出す」という言葉をよく耳にしませんか?これも実は、正しい呼吸法、特に「abdominal breathing(アブドミナル・ブリージング:腹式呼吸)」と深く関係しています。この節では、その謎も解き明かしていきますよ!
なぜ「姿勢」が大切なの?
歌うときの姿勢は、声の通り道や体の使い方に直接影響します。
- 空気の通り道がスムーズに: 背筋が伸びて正しい姿勢でいると、喉や胸が圧迫されず、息がスムーズに出入りできます。これが、伸びやかな声を出すための第一条件です。
- 体がリラックスできる: 不要な力みは声の大敵。正しい姿勢は、体をリラックスさせ、声帯やその周りの筋肉が自由に働けるようにします。
- 体をしっかり支える: 特に腹式呼吸でお腹を使って息をコントロールするとき、安定した姿勢がその支えとなります。
逆に、猫背だったり、体に余計な力が入っていたりすると、声が出しにくくなったり、喉を痛める原因になったりもします。
なぜ「呼吸」が大切なの?
私たちの声は、肺から送り出される「息」が声帯を振動させることによって生まれます。つまり、息は声のエネルギー源そのものなんです。
歌うときには、普段の会話のときよりもたくさんの息を、そしてコントロールしながら使う必要があります。そのために最適な呼吸法が「腹式呼吸」です。胸式呼吸(主に胸を膨らませる呼吸)と比べて、腹式呼吸には以下のようなメリットがあります。
- たくさんの息を吸い込める: 横隔膜(おうかくまく)という筋肉を大きく動かすことで、肺にたっぷり空気を取り込めます。
- 安定した息を送り出せる: お腹周りの筋肉を使って息をコントロールするので、長く安定した声を出しやすくなります。
- 喉への負担が少ない: 喉に余計な力が入るのを防ぎ、リラックスした状態で発声しやすくなります。
この節で学ぶこと
この最初のセクションでは、以下の2つのページに分けて、正しい姿勢と腹式呼吸について詳しく学んでいきます。
- 03-01-01: 図解!正しい立ち方・座り方
歌うのに最適な「立ち姿勢」と「座り姿勢」を、イラストを交えながら具体的に解説します。どこに意識を向ければ良いかのチェックポイントも紹介します。 - 03-01-02: アニメーションで学ぶ腹式呼吸
「腹式呼吸ってどうやるの?」という疑問に、アニメーションを使って分かりやすくお答えします。横隔膜の動きや、実際に腹式呼吸を練習する方法をステップごとに解説します。
一見地味に思えるかもしれませんが、正しい姿勢と呼吸法をマスターすることは、あなたの歌声を劇的に変える可能性を秘めています。焦らず、基本からしっかり身につけていきましょう!