2.2 ニュートンの運動の法則 (Newton's Laws of Motion) ~運動の基本ルールを解き明かす!~
力がつり合わないとき、物体はどうなる?
前のセクションでは、「力のつりあい」について学んだね。物体に働く力の合力がゼロなら、その物体は静止し続けるか、等速直線運動を続けるんだった。
じゃあ、もし力がつり合っていなかったら…? つまり、合力がゼロでない場合は、物体はどうなるんだろう? ボールを蹴ったら飛んでいく、アクセルを踏んだら車がスピードを上げる、ブレーキをかけたら自転車が止まる…。 そう、力がつり合っていないとき、物体の運動の状態は変化するんだ! 具体的には、速度 (Velocity) が変わる、つまり加速度 (Acceleration) が生じるんだね。
この、「力」と「物体の運動の変化(加速度)」との間の関係を、3つのシンプルな法則としてまとめ上げたのが、物理学のスーパーヒーロー、アイザック・ニュートンなんだ。 これから学ぶ「ニュートンの運動の法則」は、私たちが目にするほとんどの物体の運動(古典力学 (Classical Mechanics) の範囲)を理解するための、超基本にして超重要なルールなんだよ!
図1:運動の法則を発見したアイザック・ニュートン
ニュートンの運動法則:3つのルールの予告編
ニュートンが見つけ出した運動の法則は、次の3つから成り立っているんだ。それぞれ、この後のページで詳しく見ていくけど、まずはどんなルールなのか、簡単に紹介するね。
- 【第1法則】慣性の法則 (Law of Inertia)
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一言で言うと… 「物体は、ほっとかれたら今の運動を続けようとする」
力が働かない(または、力がつり合っている)場合、静止している物体はずっと静止したままだし、動いている物体はずっと同じ速さでまっすぐ動き続けようとする、という法則だよ。「力のつりあい」の話ともつながっているね。 - 【第2法則】運動方程式 (Equation of Motion)
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一言で言うと… 「力が強いほど、そして体が軽いほど、ビューンと加速する!」
物体に働く力の合力 $F$ と、物体の質量 $m$、そして生じる加速度 $a$ の間には、$F=ma$ (または $a=F/m$) という関係がある、という法則。これがニュートンの法則の中でも特にパワフルで、物体の運動を計算するための基本的な式になるんだ! - 【第3法則】作用・反作用の法則 (Law of Action and Reaction)
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一言で言うと… 「何かを押したら、必ず同じ強さで押し返される」
力は常にペアで存在する、という法則。物体Aが物体Bに力(作用)を及ぼすと、必ず同時に、物体Bも物体Aに同じ大きさで反対向きの力(反作用)を及ぼし返す、というものだよ。「力のつりあい」とは違うペアであることに注意が必要だ。
この3つの法則は、それぞれ独立しているように見えて、実は互いに関わり合いながら、物体の運動という現象を説明しているんだ。まさに物理学の土台となる法則たちなんだね。
3つの法則をどう学ぶ?
この節では、ニュートンの運動の法則を一つずつ、順番に解説していくよ。
- それぞれの法則が何を意味しているのか、具体的な例や図を通してしっかり理解することを目指そう。
- 特に第2法則(運動方程式)は、実際に問題を解くための重要な「道具」になる。力の図示と組み合わせて、運動方程式を立てて使う練習をたくさんしていくよ。
- 第3法則(作用・反作用)は、力のつり合いとの違いをしっかり区別できるようになることが目標だ。
数式も出てくるけれど、その式の「心」というか、「物理的な意味」を掴むことができれば、きっとニュートンの世界が面白くなるはずだよ!
まずは第1法則、「慣性の法則」からスタート!
それじゃあ、まずは「物体は今の運動を続けたい!」という性質を表す、ニュートンの第1法則(慣性の法則)から詳しく見ていこう。 力のつり合いとどう関係しているのかも、明らかにしていこうね!