02-03: 音と音の距離を感じよう~Relative Pitch(リラティブ・ピッチ)って便利だよ~
前のページでは、ピアノの音をお手本にして、自分の声のpitch(ピッチ:音の高さ)を合わせる練習をしましたね。特定の音の高さを正確に出す感覚は、少し掴めてきましたか?
今回は、「Relative Pitch(リラティブ・ピッチ:相対音感)」という、歌を歌う上でとーっても便利な能力について紹介します。「絶対音感」という言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、それとは少し違います。
- 絶対音感: ある音を聴いただけで、その音の高さ(ドレミなど)が正確にわかる能力。これは特別な訓練が必要で、大人になってから身につけるのは難しいと言われています。
- 相対音感: 最初に聴いた音(基準の音)に対して、次に聴いた音がどれくらい高いか低いか、つまり音と音の「距離」や「幅」(interval:インターバル、音程)を感じ取る能力。これは、トレーニングで誰でも鍛えることができます!
カラオケで上手に歌うためには、この相対音感が非常に重要なカギを握っているんです。
相対音感って、どんな感じ?
相対音感は、まるで音の階段の「何段分離れているか」を理解するようなものです。例えば、最初に「ド」の音が鳴ったとします。その次に鳴った音が「ソ」だった場合、相対音感がある人は、その「ドからソへの音の上がり方(距離感)」をパッと感じ取ることができます。
有名な曲のメロディーを思い浮かべてみましょう。
- 「きらきら星」の最初の2音「きーらーきーらー」は、「ドー、ソー」という音の動きです。この「ドからソへ上がる感じ」を覚えるのが相対音感の第一歩。
- 「チューリップ」の「ドーレーミー、ドーレーミー」では、「ドからレへ少し上がる感じ」「レからミへまた少し上がる感じ」を捉えます。
このように、メロディーは一つ一つの音がバラバラに存在しているのではなく、前の音に対して次の音がどう動くか、という連続でできています。この音の動き(=音程)を感じ取るのが相対音感の働きです。
どうして相対音感が歌に大切なの?
相対音感を鍛えると、歌にとって良いことがたくさんあります。
- メロディーを覚えるのが早くなる: 音の動きのパターンが分かるので、新しい曲のメロディーもスッと頭に入りやすくなります。
- 音程がより正確になる: 次の音がどれくらい上がるのか、下がるのかを予測しやすくなるため、音を外しにくくなります。
- ハモりが得意になるかも: 主旋律に対して、どのくらい離れた音を出せばキレイにハモるのかが感覚的に分かるようになります。(ハモリについては、もっと後の章で詳しく説明しますね!)
第一歩!2つの音の「高い・低い・同じ」を聞き分けよう
まずは、相対音感を鍛えるための簡単なトレーニングから始めてみましょう。下のアプリでは、2つの音が続けて鳴ります。2番目の音が、最初の音と比べて「高かった」か「低かった」か「同じだった」かを選んでください。
音の聞き分けトレーニング
「問題の音を聴く」ボタンを押すと、2つの音が続けて鳴ります。
2番目の音は、最初の音と比べてどうでしたか?
練習のコツ:最初のうちは、音の高さが大きく違う問題(例:ドとソ)から始めると分かりやすいかもしれません。慣れてきたら、少しの違い(例:ドとレ)も聞き分けられるように挑戦してみましょう。このアプリは、まず「音の上がり下がり」に敏感になるための練習です。
相対音感は、一朝一夕に身につくものではありませんが、このような簡単なトレーニングを続けることで、必ずあなたの耳は育っていきます。この後のページや、さらに進んだトレーニングで、色々な音の「距離感」を掴んでいきましょう!