01-03: 自分の歌声、どう聞こえる?~音程・リズム・声量をチェック~
さあ、自分の歌声を録音したら、いよいよそれを聴いて分析する番です!「自分の声を聞くのはちょっと緊張する…」という人もいるかもしれませんが、これは上手になるためのとっても大切なステップ。勇気を出して、自分の歌と向き合ってみましょう。
録音した自分の歌を聴くときは、ただ「上手いかな?下手かな?」と感想を持つだけでなく、いくつかの具体的なポイントに注目することで、課題が見つかりやすくなります。ここでは、どんな点に注意して聴けばいいのかを解説します。
分析の前に:客観的に聴くための心構え
- リラックスして: 深呼吸して、落ち着いた気持ちで聴きましょう。
- 批判的になりすぎない: ダメ出しばかりするのではなく、「ここは良いね!」「ここはもっとこうしたら良くなるかも?」という視点で。
- 最初はイヤホンやヘッドホンで: 周りの音をシャットアウトして、自分の声に集中しやすくなります。
ココをチェック!歌声分析の5大ポイント
録音した歌を聴きながら、以下のポイントを意識してみてください。
1. 音程 (Pitch ピッチ):メロディーと合ってる?
音程は歌の基本中の基本!お手本のメロディーラインと、自分の歌声の高さが合っているかを確認しましょう。
- 全体的に合っているか: なんとなく全体的に音が高い、または低いということはありませんか?
- 部分的なズレ: 特定のフレーズや音だけがズレていませんか?特に、高い音や低い音、音が跳躍するところでズレやすいです。
- 音の安定感: 音がふらふらと不安定に揺れていませんか?(これは意図したビブラートとは違います)まっすぐ正しい音程で声を保てているか確認しましょう。
- しゃくりあげやフォール: 意図せずに音が下から上にしゃくりあげるように入っていたり、音の終わりがだらっと下がってしまったりしていませんか?
Tip: ピアノの鍵盤アプリや、スマートフォンのチューナーアプリ(楽器の音を合わせるアプリですが、声の音程も測れます)を使って、気になる部分の音程を視覚的に確認してみるのも良い方法です。詳しい使い方はまた別の章で説明しますね。
2. リズム (Rhythm リズム) / タイミング (Timing タイミング):伴奏に乗れてる?
カラオケ音源(伴奏)のリズムやテンポに、自分の歌がしっかり乗っているかを確認しましょう。
- テンポ感: 全体的に伴奏より早口(走り気味)になったり、遅れたり(タメすぎ)していませんか?
- 言葉の出だし: フレーズの最初の言葉を出すタイミングは合っていますか?食い気味(早すぎる)か、遅れていないか。
- 休符や間(ま): 歌わない部分(休符)の長さは適切ですか?間をしっかり取れていますか?
Tip: 手拍子をしながら聴いてみたり、メトロノームの音に合わせて歌う練習もリズム感アップに繋がります。これらも後の章で詳しく見ていきましょう。
3. 声量 (Volume ボリューム) / 発声 (Vocalization ヴォーカライゼーション):声はちゃんと出てる?
声の大きさや出し方、安定感も大切なポイントです。
- 声の大きさ: 全体的に声が小さすぎたり、逆に大きすぎて音が割れたりしていませんか?Aメロは小さく、サビは大きく、などの変化はありますか?(最初は一本調子でもOK)
- 声の安定性: 声が不自然に震えたり、かすれたりしていませんか?(特にロングトーンで)
- 息継ぎ(Breath ブレス): 息継ぎの場所は自然ですか?息を吸う音が大きすぎませんか?息が続かなくて苦しそうなところはありませんか?
- ロングトーン: 長く伸ばす音は、最後まで安定して同じ音程・声量で伸ばせていますか?
4. 滑舌 (Articulation アーティキュレーション) / 言葉の明瞭さ:歌詞は聞き取れる?
いくら音程やリズムが合っていても、歌詞が聞き取れなければ魅力は半減してしまいます。
- 言葉の明瞭さ: 一つ一つの言葉がはっきりと発音されていますか?「さしすせそ」や「たちつてと」などが曖昧になっていませんか?
- もたつき: 言葉がもたついたり、いくつかの言葉がくっついてしまって聞き取りにくくなっていませんか?
5. 表現力 (Expression エクスプレッション) – まずは丁寧に:一本調子じゃない?
「表現力」というと難しく感じるかもしれませんが、ここではまず「一本調子になっていないか」だけを意識してみましょう。
- 抑揚(よくよう): 歌全体が同じような声の大きさや強さで、平坦になっていませんか?少しでも良いので、歌詞の意味やメロディーの流れに合わせて、声の大きさを変えたり、優しく歌ったり、力強く歌ったりする意識があるか確認してみましょう。(細かいテクニックは後の章で!)
- 丁寧さ: 音や言葉を一つ一つ大切に歌えているか、雑になっていないか。
分析の進め方と記録のコツ
- まずは通して聴く: 細かいことは気にせず、まずは録音した歌を最初から最後まで聴いて、全体の印象を掴みましょう。
- ポイントごとに聴き返す: 次に、上記の5つのポイントを意識しながら、気になる部分を繰り返し聴いてみましょう。
- メモを取る: 気づいたこと、良かった点、改善したい点をノートなどにメモしておくと、後で練習の計画を立てるのに役立ちます。「〇〇という曲の△△の部分、音が低い」「サビで息が苦しい」など具体的に書くのがおすすめです。
- 一度に全部は無理しない: たくさん課題が見つかるかもしれませんが、一度に全てを直そうとするのは大変です。まずは一番気になるポイントや、少し練習すれば改善できそうなポイントから一つずつ取り組んでいきましょう。
自分の歌声を客観的に聴くことは、上達への最短ルートです。最初は耳が痛いかもしれませんが、必ずあなたの力になります。焦らず、じっくりと自分の声と向き合ってみてくださいね。