第2章 確率の計算 ~「起こりやすさ」を数字で表す~
2-4: 確率Probability の範囲(0から1まで、そしてパーセント表示)
これまで、コイン投げやサイコロ投げの確率を計算してきたね。例えば、コインで表が出る確率は $\frac{1}{2}$、サイコロで1の目が出る確率は $\frac{1}{6}$ だった。これらの確率の値を見て、何か気づくことはないかな?
実は、どんな出来事の確率も、必ずある決まった範囲の値をとるんだ。今回はその「確率の範囲」について詳しく見ていこう!
確率の値が取る範囲: $0 \le P(A) \le 1$
どんな事象event A についても、その事象Aが起こる確率を $P(A)$ と書くと、この $P(A)$ の値は必ず 0以上1以下 になるんだ。
$0 \le P(A) \le 1$
なぜそうなるの?
確率の定義を思い出してみよう。ある試行で、起こりうるすべての根元事象が $N$ 通りあり(これらが同様に確からしいとする)、そのうち事象Aが起こる場合の数が $a$ 通りだとすると、
$P(A) = \frac{a}{N}$
だったね。ここで、$a$ というのは「事象Aが起こる場合の数」だから、マイナスの値になることはないよね。つまり、$a \ge 0$ だ。 また、$a$ はどんなに多くても「起こりうるすべての場合の数 $N$」を超えることはない。だって、全部の場合より多く起こるなんてありえないからね。だから、$a \le N$ だ。
まとめると、$0 \le a \le N$ という関係が成り立つんだ。
この不等式のそれぞれの部分を、$N$(もちろん $N$ は0より大きい数だよ)で割ってみると…
$\frac{0}{N} \le \frac{a}{N} \le \frac{N}{N}$
つまり、
$0 \le P(A) \le 1$
となって、確率 $P(A)$ は必ず0と1の間の値(0や1そのものも含む)になることがわかるね!
確率が0になるとき:空事象Impossible Event (絶対に起こらない事象)
もし、ある事象が絶対に起こらないとしたら、その確率はどうなるかな?
例えば、「1個のサイコロを1回投げて7の目が出る」という事象を考えてみよう。サイコロの目は1から6までしかないから、7の目が出ることは絶対にないよね。この場合、事象が起こる場合の数 $a$ は0だ。だから、
$P(\text{7の目が出る}) = \frac{0}{6} = 0$
このように、絶対に起こらない事象の確率は0になるんだ。このような事象を空事象Impossible Event (または Null Event ともいい、記号 $\emptyset$ で表すこともあるよ) と呼ぶんだ。
$P(\text{空事象}) = 0$
他の例としては、「赤玉だけが入っている袋から白玉を取り出す確率」なども0になるね。
確率が1になるとき:全事象Certain Event (必ず起こる事象)
では逆に、ある事象が必ず起こるとしたら、その確率はどうなるだろう?
例えば、「1個のサイコロを1回投げて、1以上6以下のいずれかの目が出る」という事象を考えてみよう。サイコロを投げれば、必ず1から6のどれかの目が出るよね。この場合、事象が起こる場合の数 $a$ は、起こりうるすべての場合の数 $N$ と同じになる (この例では $a=6, N=6$)。
$P(\text{1~6のいずれかの目が出る}) = \frac{6}{6} = 1$
このように、必ず起こる事象の確率は1になるんだ。このような事象を全事象Certain Event (または Sure Event ともいい、標本空間 $S$ 全体に対応する事象のことだよ) と呼ぶんだ。
$P(\text{全事象}) = 1$
他の例としては、「晴れか雨か曇りのいずれかである確率」(天候がこの3つしかないとすれば)なども1になるね。
確率のパーセント表示
確率は、これまで見てきたように0から1までの小数や分数で表されるのが数学の基本だけど、天気予報の「降水確率50%」のように、日常生活ではパーセントpercentage (%) で表すことも多いよね。
確率をパーセントに直すのは簡単!
(確率の値) $\times 100 = (\text{パーセントの値})\%$
例えば、
- 確率 $\frac{1}{2} = 0.5 \implies 0.5 \times 100 = 50\%$
- 確率 $\frac{1}{4} = 0.25 \implies 0.25 \times 100 = 25\%$
- 確率 $1$ (必ず起こる) $\implies 1 \times 100 = 100\%$
- 確率 $0$ (絶対に起こらない) $\implies 0 \times 100 = 0\%$
逆に、パーセントを確率の小数(または分数)に戻すには、100で割ればいいね。
確率 ⇔ パーセント変換ツール
まとめ
今日のポイントをまとめておこう!
- どんな事象Aの確率 $P(A)$ も、必ず $0 \le P(A) \le 1$ の範囲にある。
- $P(A)=0$ のとき、事象Aは絶対に起こらない(空事象)。
- $P(A)=1$ のとき、事象Aは必ず起こる(全事象)。
- 確率の値が1に近いほどその事象は起こりやすく、0に近いほど起こりにくい。
- 確率は $\times 100$ することでパーセント表示にできる。
この確率の範囲の考え方は、これから色々な確率を計算していく上で、答えが妥当かどうかをチェックするのにも役立つよ!
このページで出てきたEnglish wordsとその仲間たち
英単語 (English) | 意味 (Meaning) | 例文 (Example Sentence) | 例文の読み上げ | 例文の日本語訳 |
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Range | 範囲 | The range of probability values is from 0 to 1. | ▶ 再生 | 確率の値の範囲は0から1です。 |
Impossible Event | 空事象、ありえない事象 | Getting a 7 when rolling a standard die is an impossible event. | ▶ 再生 | 標準的なサイコロを振って7が出ることは、ありえない事象です。 |
Null Event | 空事象 | The probability of a null event is 0. | ▶ 再生 | 空事象の確率は0です。 |
Certain Event / Sure Event | 全事象、必ず起こる事象 | Getting a number from 1 to 6 when rolling a die is a certain event. | ▶ 再生 | サイコロを振って1から6のいずれかの数字が出ることは、必ず起こる事象です。 |
Percentage | パーセンテージ、百分率 | Probability can also be expressed as a percentage. | ▶ 再生 | 確率はパーセンテージで表現することもできます。 |
Convert | 変換する | You can convert a probability fraction to a percentage. | ▶ 再生 | 確率の分数をパーセンテージに変換できます。 |
Boundary | 境界、限界 | The values 0 and 1 are the boundaries for probability. | ▶ 再生 | 0と1の値は確率の境界です。 |