古文対策問題 047(今昔物語集「芋粥」)
【本文】
男、年ごろ芋粥を食はむことを願ひて、つひにある人のもとに招かれて、芋粥を飽かせて食ふ。さて後は、さらに芋粥を食はむと思はずなりにけり。
人の願ふものは、得てみれば、さほどのこととも思はぬものなり。
【現代語訳】
ある男が、何年も芋粥を食べたいと願っていたが、ついにある人に招かれて芋粥をお腹いっぱい食べることができた。けれども、それ以後は、もう芋粥を食べたいとは思わなくなった。
人が願い続けるものは、いざ手に入れてみると、それほど大したものではないと思うことが多いのである。
【覚えておきたい知識】
文学史・古文常識:
- 作者:未詳。平安末期の説話集。
- 作品:『今昔物語集』。さまざまな教訓や奇談を収める。
- 芋粥:芋(サトイモなど)を入れて炊いた粥。昔は貴重な食べ物だった。
重要古語・語句:
- 年ごろ:長い間。
- 芋粥を飽かせて食ふ:お腹いっぱい芋粥を食べる。
- さて後は:そのあとには。
- さらに…ず:まったく〜ない。
- さほどのこととも思はぬ:それほど大したこととも思わない。
【設問】
【問1】男が芋粥を食べた後、どのような気持ちになったか、最もふさわしいものを一つ選べ。
- もう芋粥を食べたいとは思わなくなった
- さらに食べたくなった
- ほかの人に分けてあげた
- 毎日食べるようになった
- 芋粥を嫌いになった
【問1 正解と解説】
正解:1
「さて後は、さらに芋粥を食はむと思はずなりにけり」とあり、満足した後は欲しなくなったことが分かる。
【問2】「人の願ふものは、得てみれば、さほどのこととも思はぬものなり」とはどのような意味か、一つ選べ。
- 手に入れてみると、思ったほど価値がないことも多い
- 願ったものはすべて永遠に大切に思う
- 願いは叶わないほうが良い
- 得たものを人に分けるべきである
- 何事も望まないほうが良い
【問2 正解と解説】
正解:1
願い続けたものでも、手に入れてみると意外に価値を感じないことがある、という教訓である。
【問3】この説話が伝えようとする人生観・教訓として最もふさわしいものを一つ選べ。
- 欲望や願いには限りがなく、得てもまた次のものを欲することが多い
- 夢や目標はかなわないことが多い
- 人は感謝の気持ちを忘れてはいけない
- 健康が一番大事である
- 家族を大切にすべきだ
【問3 正解と解説】
正解:1
手に入れたものでも満足は長く続かず、さらに新しい願いが生まれる人間の性(さが)を描いている。