古文対策問題 046(堤中納言物語「虫めづる姫君」)
【本文】
虫めづる姫君、容貌うるはしき姫君なれど、虫の好きにて、朝夕、さまざまなる虫を集めては、その姿かたちを見比べ、詩を作りては遊び給ふ。
女房たちも呆れつつも、姫君の聡明なることを尊びけり。
【現代語訳】
虫好きの姫君は、美しい容姿の姫であったが、虫が好きで、朝夕さまざまな虫を集めては、その姿を見比べ、詩を作って遊んでいた。
女房たちもあきれつつも、姫君の賢さを尊敬していた。
【覚えておきたい知識】
文学史・古文常識:
- 作者:未詳。平安末期〜鎌倉初期の短編物語集。
- 作品:『堤中納言物語』。風変わりな姫の物語として有名。
- 虫めづる姫君:虫を愛でる変わり者の姫。
- 女房:宮中に仕える女性。
重要古語・語句:
- 容貌うるはしき:容姿が美しい。
- 好き:好み、愛好。
- 見比べ:見くらべる。
- 聡明なる:賢い、頭が良い。
【設問】
【問1】虫めづる姫君の特徴として本文で正しいものを一つ選べ。
- 美しい容姿と虫好きの個性を持っている
- 剣術が得意である
- 物語の中で旅をしている
- 女房たちを叱ってばかりいる
- 音楽だけを楽しんでいる
【問1 正解と解説】
正解:1
「容貌うるはしき姫君」「虫の好き」と記され、美しさと独特の趣味が強調されている。
【問2】女房たちが姫君を「尊びけり」と思う理由として最もふさわしいものを一つ選べ。
- 姫君が聡明だったから
- 姫君が家柄の高い人だったから
- 姫君が怒らなかったから
- 姫君が旅をしていたから
- 姫君が虫を嫌いだったから
【問2 正解と解説】
正解:1
本文の「姫君の聡明なることを尊びけり」より、賢さが理由である。
【問3】この物語が伝える価値観・教訓として最もふさわしいものを一つ選べ。
- 人と違う個性や興味を持つことも大切である
- 虫は集めてはいけない
- 美しさだけが重要である
- 女房は姫君に従うべきである
- 宮中では詩を作ってはならない
【問3 正解と解説】
正解:1
風変わりな姫君が賢さで周囲に認められることから、個性や好奇心の大切さが読み取れる。