古文対策問題 043(平家物語「祇園精舎の鐘の声」)

【本文】

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。

【現代語訳】

祇園精舎の鐘の音には、世のすべてのものは常に移り変わるという無常の響きがある。沙羅双樹の花の色は、栄えた者も必ず衰えるという理を示している。傲慢な人も長くは続かず、それはただ春の夜の夢のようなものだ。
勇ましい者も最後には滅びてしまい、それは風の前の塵と同じである。

【覚えておきたい知識】

文学史・古文常識:

  • 作者:未詳。鎌倉時代の軍記物語。
  • 作品:『平家物語』。栄華と滅亡、無常観が主題。
  • 祇園精舎:インドの有名な仏教寺院。
  • 諸行無常:すべてのものは移り変わるという仏教思想。
  • 盛者必衰:栄えた者は必ず衰える。

重要古語・語句:

  • おごれる:おごり高ぶる、傲慢な。
  • 久しからず:長くは続かない。
  • ひとへに:ひたすら、ただただ。
  • つひには:最後には。
  • 風の前の塵:風の前に舞うちり=はかなく消えてしまうもののたとえ。

【設問】

【問1】「祇園精舎の鐘の声」が象徴しているものを一つ選べ。

  1. この世の無常
  2. 戦の勝利
  3. 家族の愛
  4. 春の美しさ
  5. 友情の大切さ
【問1 正解と解説】

正解:1

「諸行無常の響きあり」とあるように、世のすべては移り変わる無常の象徴である。

【問2】「おごれる人も久しからず」とは、どのような意味か、一つ選べ。

  1. 傲慢な者も長くは繁栄しない
  2. 優しい人は幸せになる
  3. 家族と暮らす人は健康である
  4. 戦いに勝った人は必ず幸せになる
  5. 自然の美しさは永遠に変わらない
【問2 正解と解説】

正解:1

栄華を極めても、傲慢な者もやがては衰退し滅びるという意味。

【問3】この冒頭の一節が表現している『平家物語』のテーマとして最もふさわしいものを一つ選べ。

  1. 栄枯盛衰と無常観
  2. 恋愛のよろこび
  3. 平安京の四季
  4. 農民の生活
  5. 家族のきずな
【問3 正解と解説】

正解:1

冒頭は、繁栄と没落、そして無常観(すべては移り変わる)を強調する本作の中心テーマである。

レベル:やや難|更新:2025-07-25|問題番号:043