古文対策問題 042(大鏡「道隆の最期」)
【本文】
道隆、つひに病に臥し給ふ。親しき人々、御枕上に集まり、涙を流しけり。やがて世を去り給ひぬれば、世の人々、惜しみ悲しむこと限りなし。
その栄華も今は昔となりにけり。人の世の無常、かくのごとし。
【現代語訳】
道隆はついに病に伏してしまった。親しい人々が枕元に集まり、涙を流した。そのままこの世を去ると、世の人々の惜しみ悲しむ気持ちは限りなかった。
道隆の栄華も今では過去のものとなってしまった。人の世の無常さはこのようなものだ。
【覚えておきたい知識】
文学史・古文常識:
- 作者:未詳。平安時代後期の歴史物語。
- 作品:『大鏡』。藤原道隆は道長の兄で、摂関家の栄華とその終わりが描かれる。
- 御枕上:病人の枕元。
- 無常:この世のものは必ず変わり、永遠に続くものはないという考え。
重要古語・語句:
- つひに:ついに。
- 臥し給ふ:病気で寝る。
- 惜しみ悲しむ:惜しみ悲しむ、深く嘆き悲しむ。
- 今は昔となりにけり:今では昔のことになってしまった。
- かくのごとし:このようなものである。
【設問】
【問1】藤原道隆が「つひに病に臥し給ふ」とは、どのような状況を表しているか、一つ選べ。
- 病気で床につくことになった
- 旅に出ることになった
- 新しい家を建てた
- 栄華を極めた
- 都を離れた
【問1 正解と解説】
正解:1
「つひに病に臥し給ふ」は病気で寝込んでしまったことを意味する。
【問2】「その栄華も今は昔となりにけり」という一文から読み取れることとして最もふさわしいものを一つ選べ。
- かつての繁栄も今は過去のものとなった
- 今も栄華が続いている
- 将来さらに栄えるだろう
- 家族の絆が深まった
- 新しい家を建てている
【問2 正解と解説】
正解:1
「今は昔となりにけり」は「今では過去のものになった」という意味である。
【問3】この段落から読み取れる『大鏡』のテーマとして最もふさわしいものを一つ選べ。
- 栄華の盛衰と人の世の無常
- 恋愛のよろこび
- 戦いの勝利
- 家族の団らん
- 自然の美しさ
【問3 正解と解説】
正解:1
道隆の栄華が終わる様子とともに、人の世の無常が主題として描かれている。