古文対策問題 041(源氏物語「末摘花の巻」)
【本文】
源氏の君、冬の夜、雪のふる折に、末摘花のもとを訪ひ給ふ。荒れたる御座所に、ほのかに灯のさすを見れば、末摘花の姫君、うちしほれたる姿にて侍り。
君、しばし御話などして、姫君の慎ましき心ばへをいたく感じ給ひぬ。
【現代語訳】
源氏の君は、冬の夜、雪が降るときに末摘花のもとを訪れた。荒れ果てた住まいで、かすかに灯りがともる中、末摘花の姫君はしおれた様子でいた。
源氏の君はしばらく話をして、姫君の慎み深い心遣いにとても感動したのであった。
【覚えておきたい知識】
文学史・古文常識:
- 作者:紫式部。平安時代中期の女流作家。
- 作品:『源氏物語』の一巻「末摘花」。源氏が貧しい姫君を訪れ、その純粋さに心を動かされる場面。
- 末摘花:スエツムハナ。紅花(ベニバナ)。姫の呼び名にも用いられる。
重要古語・語句:
- 訪ひ給ふ:訪ねなさる。
- 荒れたる御座所:荒れ果てた住まい。
- ほのかに灯のさす:かすかに灯りがともる。
- うちしほれたる姿:しおれた、しょんぼりとした様子。
- 慎ましき:慎み深い、控えめな。
- いたく感じ給ひぬ:たいそう感動なさった。
【設問】
【問1】源氏の君が末摘花を訪れた時の状況として最も適切なものを一つ選べ。
- 冬の夜、雪が降っていた
- 春の朝、桜が咲いていた
- 秋の夕暮れ、月が輝いていた
- 夏の昼、暑さの中であった
- 嵐の夜、雷が鳴っていた
【問1 正解と解説】
正解:1
本文冒頭に「冬の夜、雪のふる折に」とあり、冬の雪の夜であったことがわかる。
【問2】末摘花の姫君の特徴として本文で描かれているものを一つ選べ。
- しおれて控えめな姿と慎ましさ
- 華やかで明るい性格
- 強く自己主張する姿勢
- 武道に秀でていること
- 怒りっぽい性格
【問2 正解と解説】
正解:1
「うちしほれたる姿」「慎ましき心ばへ」と描写され、控えめで慎み深い性格が強調されている。
【問3】「姫君の慎ましき心ばへをいたく感じ給ひぬ」とあるが、この表現が示す源氏の君の心情として最もふさわしいものを一つ選べ。
- 姫君の控えめな態度に深い感動を覚えた
- 姫君の外見ばかりを評価した
- 姫君の家柄に驚いた
- 姫君を叱った
- 姫君に失望した
【問3 正解と解説】
正解:1
姫君の慎み深さ・控えめな心を「いたく感じ給ひぬ」=非常に感動した、とある。