古文対策問題 035(徒然草「無常と人生」)

【本文】

つれづれなるままに、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、世の中のことも、人の営みも、はかなく、定めなきものと見ゆ。
花は咲きて、やがて散りぬ。月は満ちて、欠けぬるを、世の例に思ふに、なべてのことは、久しくとどまるべくもあらず。

【現代語訳】

することもなく、心に浮かぶ取り留めのないことを書きつけていると、世の中のことも人の営みも、はかなく、定まったものではないと思われる。
花は咲いてもすぐに散ってしまう。月も満ちては欠けていく。それがこの世の常だと思うと、どんなことも長く続くものではない。

【覚えておきたい知識】

文学史・古文常識:

  • 作者:兼好法師(吉田兼好)。鎌倉時代の随筆家。
  • 作品:『徒然草』は人生観・自然観などを随想的に綴った随筆。
  • 無常観:この世のすべては移り変わり、永遠にとどまるものはない、という考え。

重要古語・語句:

  • つれづれなるままに:暇なままに。
  • よしなし事:とりとめもないこと。
  • はかなく:むなしく、はかない。
  • 定めなきもの:定まらないもの。
  • なべてのこと:すべてのこと。
  • とどまるべくもあらず:とどまり続けることはない。

【設問】

【問1】筆者が「世の中のことも、人の営みも、はかなく、定めなきもの」と感じた理由として最も適切なものを一つ選べ。

  1. 人の生活が豊かになったから
  2. 花が咲いても散り、月が満ちても欠けるように、すべてが移り変わるから
  3. 昔の人の方が偉かったから
  4. 書くことがなかったから
  5. 冬が寒いから
【問1 正解と解説】

正解:2

花も月も形を変えていくことから、すべては移り変わる「無常」であると感じている。

【問2】「なべてのことは、久しくとどまるべくもあらず」とはどういう意味か、一つ選べ。

  1. すべてのことは、長く続くものではない
  2. 世の中のことはすべて楽しい
  3. 人生は安定している
  4. どんなことも永遠に変わらない
  5. 人の営みは決まっている
【問2 正解と解説】

正解:1

「なべてのことは、久しくとどまるべくもあらず」は「どんなことも長く続くものではない」という意味。

【問3】この文章の中心的な思想として最もふさわしいものを一つ選べ。

  1. この世の無常を見つめる人生観
  2. 恋愛の喜び
  3. 家族の大切さ
  4. 自然の災害を恐れる気持ち
  5. 都の華やかさ
【問3 正解と解説】

正解:1

世の中の移り変わり=「無常」を中心に据えた人生観がこの段落の主題である。

レベル:標準|更新:2025-07-25|問題番号:035