古文対策問題 032(竹取物語「かぐや姫の昇天」)
【本文】
かぐや姫、月の都より迎への者来たりて、つひに昇天し給ふ。翁、姫を失ひて、悲しびの涙とどまらず。姫は別れの言葉を残し、天の羽衣をまとひて、月の都へ帰り給ひぬ。
翁と媼は、ただ呆然として、天を仰ぎ見つつ、物も言はでぞありける。
【現代語訳】
かぐや姫のもとに月の都から迎えがやって来て、ついに天に昇っていった。翁(おきな)は姫を失い、悲しみの涙が止まらなかった。姫は別れの言葉を残し、天の羽衣をまとって月の都へ帰っていった。
翁と媼(おうな)は、ただ呆然として天を見上げ、言葉も出なかった。
【覚えておきたい知識】
文学史・古文常識:
- 作者:未詳。平安時代前期の物語文学。
- 作品:『竹取物語』は日本最古の物語文学。かぐや姫と翁・媼の交流と別れが主題。
- 月の都:月の世界・天上界。
- 羽衣:天人が身につけるとされる衣。
重要古語・語句:
- 昇天し給ふ:天に昇られる。
- 給ふ:尊敬語、~なさる。
- 物も言はで:何も言わず。
- ありける:~であった。
【設問】
【問1】かぐや姫が「昇天し給ふ」ことになったきっかけとして最も適切なものを一つ選べ。
- 罪を犯したため
- 月の都から迎えが来たため
- 病気になったため
- 翁と喧嘩したため
- 地上に飽きたため
【問1 正解と解説】
正解:2
かぐや姫は「月の都より迎への者来たりて、つひに昇天し給ふ」とあり、迎えが来たことで天に帰ることになった。
【問2】かぐや姫の昇天の際、翁と媼がどのような様子だったか、一つ選べ。
- 喜び勇んで見送った
- ただ呆然として天を仰ぎ、物も言わなかった
- かぐや姫を追いかけた
- 家で宴を開いた
- 姫に怒りをぶつけた
【問2 正解と解説】
正解:2
翁と媼は「ただ呆然として、天を仰ぎ見つつ、物も言はでぞありける」と、悲しみと驚きで言葉も出ない様子であった。
【問3】本文から読み取れる「別れ」の描写の特徴として最もふさわしいものを一つ選べ。
- 悲しみと余韻をもって静かに描写されている
- 喜びが中心で明るい別れとなっている
- 戦いや争いの末の別れである
- 笑いと軽やかさに満ちている
- 夢や幻のように描かれている
【問3 正解と解説】
正解:1
翁と媼の呆然自失や涙、姫の別れの言葉など、悲しみと余韻をもって静かに描かれている。