古文対策問題 027(枕草子「ありがたきもの」)

【本文】

ありがたきもの。世に難きもの。舅にほめらるる婿。また、姑に思はるる嫁。主にほめらるる従者。下臈の上を敬ふも、ありがたし。
遠き国より友の来たるも、ありがたし。

【現代語訳】

めったにないもの、世の中で珍しいもの。舅にほめられる婿。また、姑に好かれる嫁。主人にほめられる従者。身分の低い者が身分の高い者を敬うのも、めったにないことである。
遠い国から友人が訪ねてくるのも、ありがたいことである。

【覚えておきたい知識】

文学史・古文常識:

  • 作者:清少納言。平安時代中期の女流随筆家。
  • 作品:『枕草子』は、日常生活や宮廷での人間関係、世相を鋭くユーモラスに描く。
  • ありがたき:めったにない、珍しい、という意味。
  • 下臈:身分の低い者。
  • 上:身分の高い者。

重要古語・語句:

  • ありがたきもの:めったにないもの。
  • 思はるる:思われる、好かれる。
  • 従者:家来、従者。
  • 敬ふ:敬う。
  • 遠き国:遠方、異国。

【設問】

【問1】「ありがたきもの」として本文で挙げられていないものを一つ選べ。

  1. 舅にほめられる婿
  2. 姑に好かれる嫁
  3. 主人にほめられる従者
  4. 下臈が上を敬うこと
  5. 親子が仲良く暮らすこと
【問1 正解と解説】

正解:5

親子については本文には登場しない。他はすべて「ありがたきもの」として挙げられている。

【問2】「ありがたし」という表現の意味として最も適切なものを一つ選べ。

  1. とても悲しい
  2. めったにない・珍しい
  3. ありがたい・感謝すべき
  4. すぐれた
  5. 長生きする
【問2 正解と解説】

正解:2

古語の「ありがたし」は「めったにない、珍しい」という意味で使われている。

【問3】清少納言の「ありがたきもの」リストの特徴として最もふさわしいものを一つ選べ。

  1. 日常の中の人間関係や社会の珍しさを、ユーモアを交えて鋭く観察している。
  2. 和歌の技巧を詳しく解説している。
  3. 恋愛の悲しみだけを扱っている。
  4. 戦や争いを主題にしている。
  5. 宗教的な奇跡を集めている。
【問3 正解と解説】

正解:1

清少納言は宮廷や人間関係の中で「めったにないこと」をユーモアと観察眼で描いている。

レベル:標準|更新:2025-07-25|問題番号:027