古文対策問題 024(枕草子「うつくしきもの」)
【本文】
うつくしきもの。瓜に書きたるちごの顔。すずめの子の、ねず鳴きするに、いとちひさくて、うちふくみたる。いみじううつくしきは、よちよち歩く児の、いとちごちごしき、衣の裾をはひ回る。
ものの上に寝たる児。ちごの寝たる、いとらうたし。
【現代語訳】
かわいらしいもの。瓜に書かれた幼い子の顔。すずめの子が、ねず鳴き(ちゅんちゅんと鳴く)していて、とても小さくてふくらんでいるのもかわいらしい。特に愛らしいのは、よちよち歩く子どもが、幼いなりの着物の裾をはって回っている姿。
物の上に寝ている子。幼い子が寝ているのも本当にかわいらしい。
【覚えておきたい知識】
文学史・古文常識:
- 作者:清少納言。平安時代中期の女流随筆家。
- 作品:『枕草子』。「うつくしきもの(かわいらしいもの)」をはじめ、日常や自然への細やかな観察が特徴。
- ちご:幼児、幼い子ども。
重要古語・語句:
- うつくしき:かわいらしい。
- ちご:幼い子、赤ん坊。
- ねず鳴き:(鳥が)ちゅんちゅんと鳴く。
- いとちひさくて:とても小さくて。
- はひ回る:はい回る、動き回る。
- らうたし:いじらしい、愛らしい。
【設問】
【問1】清少納言が「うつくしきもの」として挙げているものに含まれないものを一つ選べ。
- すずめの子が鳴く姿
- 幼い子がはい回る姿
- 幼い子が寝ている様子
- 瓜に書かれた幼い子の顔
- 桜の花が咲く景色
【問1 正解と解説】
正解:5
本文に「桜の花が咲く景色」は登場しない。他の選択肢はすべて「うつくしきもの」として挙げられている。
【問2】「いみじううつくしきは、よちよち歩く児の…」という記述からわかる清少納言の感性として正しいものを一つ選べ。
- 幼い子どもの仕草をとても愛らしく感じている。
- 大人の所作を美しいと感じている。
- 鳥を怖がっている。
- 食べ物を好んでいる。
- 花の香りを重視している。
【問2 正解と解説】
正解:1
幼い子どものよちよち歩きやはい回る様子を「いみじううつくしき」と、特に愛らしく感じていることがわかる。
【問3】本文の特徴として最も適切なものを一つ選べ。
- 日常の何気ない光景を鋭い観察眼で描いている。
- 政治批判が中心である。
- 和歌の技巧を解説している。
- 宗教的な説話である。
- 恋愛のみを主題としている。
【問3 正解と解説】
正解:1
幼い子や動物の仕草といった日常の小さな美しさを、清少納言の観察眼で丁寧に描いているのが本文の特徴である。