古文対策問題 019(徒然草「つれづれなるままに」)

【本文】

つれづれなるままに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
暇を持て余したとき、人は何を思ふともなく、筆を走らせることもまた面白きことなり。

【現代語訳】

することもなく暇なまま、一日中硯に向かって、心に浮かぶ取り留めもないことを、思いつくままに書きつけていると、なんとも不思議な気持ちになるものだ。
暇なときに、人は特に理由もなく、何となく筆を走らせることも、また趣深いものだと思う。

【覚えておきたい知識】

文学史・古文常識:

  • 作者:兼好法師(吉田兼好)。鎌倉時代の随筆家。
  • 作品:『徒然草』は「つれづれなるままに」で始まる、人生・社会観察・自然など多彩な随筆。
  • つれづれ:することがなく退屈なさま。
  • 硯:墨をする文房具。

重要古語・語句:

  • つれづれなるままに:暇なままに。
  • よしなし事:取り留めのないこと。
  • そこはかとなく:はっきりした理由もなく、なんとなく。
  • あやしうこそものぐるほしけれ:なんとも不思議な気持ちになる。
  • ものぐるほし:正気を失ったような、不思議な。

【設問】

【問1】「つれづれなるままに」とはどのような意味か、一つ選べ。

  1. 忙しくするままに
  2. 暇で退屈なままに
  3. 急いでいるままに
  4. 人と話しながら
  5. 外を散歩しながら
【問1 正解と解説】

正解:2

「つれづれなるままに」は「暇で退屈なままに」という意味で、何もすることがなく過ごす様子を表す。

【問2】「そこはかとなく書きつくれば」の意味として正しいものを一つ選べ。

  1. 真剣に考えて書くと
  2. 理由もなく、なんとなく書くと
  3. 急いで書くと
  4. 人の話を聞きながら書くと
  5. 命令されて書くと
【問2 正解と解説】

正解:2

「そこはかとなく」は「はっきりした理由もなく、なんとなく」という意味。

【問3】筆者が「ものぐるほしけれ」と表現している気持ちとして最もふさわしいものを一つ選べ。

  1. 不思議でぼんやりとした気分になること。
  2. 腹立たしい気分になること。
  3. 悲しくて泣きたくなること。
  4. 眠くて仕方がないこと。
  5. 楽しくて笑いが止まらないこと。
【問3 正解と解説】

正解:1

「ものぐるほしけれ」は「不思議な気分になる」「ぼんやりとした気持ちになる」という意味。答えは1である。

レベル:標準|更新:2025-07-25|問題番号:019