古文対策問題 018(大鏡「道長の栄華」)
【本文】
この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば、道長公の御時、世の人皆、日月も我がためにあるやうに思ひき。
その栄華、実に天にも昇るばかりなりきと語り伝ふ。
【現代語訳】
この世は自分のものだと思うほど、満月に欠けたところがないように、何一つ不足のない栄華であった。道長公(藤原道長)の時代、世の人はみな、太陽も月も道長のためにあるように思ったという。
その栄華はまさに天にも昇るほどであったと語り伝えられている。
【覚えておきたい知識】
文学史・古文常識:
- 作者:未詳。平安時代後期の歴史物語。
- 作品:『大鏡』は平安時代の有力貴族・藤原氏の栄華と没落を語る歴史物語。
- 藤原道長:平安時代中期の摂政・関白。娘たちを天皇の后にして権勢を極めた。
- 望月:満月。何も不足のない完全な様子の象徴。
重要古語・語句:
- この世をば我が世とぞ思ふ:この世を自分のものだと思う。
- 望月の欠けたることもなし:満月に欠けたところがない=何一つ不足がない。
- なりき:〜であった。
【設問】
【問1】「望月の欠けたることもなし」とはどのような意味か、最も適切なものを一つ選べ。
- 満月のように完全で、何一つ欠けたところがないというたとえ。
- 夜が明けるのが早いというたとえ。
- 道長が満月を見て喜んだ話。
- 藤原氏が月を支配したという話。
- 欠けた月が美しいという話。
【問1 正解と解説】
正解:1
「望月(満月)の欠けたることもなし」とは、満ち足りて何一つ不足のない道長の栄華を象徴するたとえである。
【問2】道長の栄華を表すために使われている比喩として最も適切なものを一つ選べ。
- 朝日の光
- 満月(望月)
- 流れる川
- 咲き誇る桜
- 鳴く虫の声
【問2 正解と解説】
正解:2
道長の権勢や繁栄の様子は「満月(望月)」にたとえられている。
【問3】「この世をば我が世とぞ思ふ」とあるが、この言葉が表す道長の心情として最もふさわしいものを一つ選べ。
- 自分の運命を悲しんでいる。
- この世のすべてを自分のものと思うほどの自信と誇り。
- 家族の幸せを願っている。
- 貧しさを嘆いている。
- 満月の夜を怖れている。
【問3 正解と解説】
正解:2
「この世をば我が世とぞ思ふ」は、全盛を極めた道長の絶大な自信と誇りを表している。