古文対策問題 014(竹取物語「かぐや姫の昇天」)
【本文】
かぐや姫、八月十五夜の月の光に照らされて、御殿の中にいとあやしき気色現れたり。ついに月より人々下りてきて、「迎えに参りたるなり」と言ふ。翁・媼は涙を流し、姫を離すまじとすれど、姫は「かく生まれし因果なれば」と言ひて、羽衣を着せられ、ついに月の都へと昇り給ふ。
残された翁・媼は姫の形見を見ては泣き暮らしぬ、と語られている。
【現代語訳】
かぐや姫は八月十五夜の満月に照らされ、不思議な気配が御殿に現れた。ついに月から人々が下りてきて、「迎えに来たのです」と言う。翁(おじいさん)と媼(おばあさん)は涙を流し、姫を手放すまいとするが、姫は「これも生まれ持った運命です」と言って羽衣を着せられ、ついに月の都へ昇っていった。
残された翁と媼は、姫の形見を見ては泣いて暮らしたと伝えられている。
【覚えておきたい知識】
文学史・古文常識:
- 作者:未詳。平安時代初期の物語文学。
- 作品:『竹取物語』は日本最古の物語文学。かぐや姫と翁・媼の物語は広く親しまれる。
- 八月十五夜:旧暦八月十五日の満月。中秋の名月。
- 羽衣:天人や異世界の存在が身にまとうとされる衣。
- 因果:仏教用語で、前世からの因縁・運命。
重要古語・語句:
- いとあやしき気色:非常に不思議な様子・気配。
- 参りたるなり:参上したのです。
- 給ふ:〜なさる、尊敬の補助動詞。
- 形見:思い出の品。
- 泣き暮らしぬ:毎日泣いて暮らした。
【設問】
【問1】かぐや姫が月の都へ帰ることになった理由として最もふさわしいものを一つ選べ。
- 地上での生活がつまらなかったから。
- 月からの使者が迎えに来たから。
- 翁や媼に冷たくされたから。
- 自分から旅立つと決めたから。
- 天皇の命令で帰ることになったから。
【問1 正解と解説】
正解:2
月からの使者が迎えに来て、「迎えに参りたるなり」と告げたため、かぐや姫は運命として月へ帰ることになった。
【問2】かぐや姫の昇天の場面で、翁・媼の心情として最も適切なものを一つ選べ。
- 姫を手放すことを悲しみ、涙を流して別れを惜しんだ。
- 姫が月に帰ることを祝福した。
- 姫に怒りをぶつけた。
- 無関心だった。
- 形見を受け取って満足した。
【問2 正解と解説】
正解:1
本文では「涙を流し、姫を離すまじとすれど」とあり、翁・媼は姫との別れを深く悲しんだ。
【問3】かぐや姫が「かく生まれし因果なれば」と言った「因果」の意味として最も適切なものを一つ選べ。
- 自分で選んだ人生
- 過去世からの因縁・運命
- 地上での規則
- 月の住人である証
- 天皇の命令
【問3 正解と解説】
正解:2
「因果」は仏教語で「前世からの因縁」「避けられない運命」という意味で使われている。