ウルトラ先生のエスペラント語教室

第2章 第2節 第2項: いつ対格を使うの? ~動詞さんが教えてくれる~

対格「-n」が必要なとき・いらないとき

前の項で、対格 -n は「~を」にあたる言葉(目的語)につく印だって学んだね。じゃあ、どんな時に目的語が必要になって、-n をつけなくちゃいけないんだろう?実は、そのヒントは「動詞さん」が持っているんだ!

動詞には、大きく分けて二つのタイプがあるよ。「目的語(~を)が必要な動詞」と、「目的語(~を)が必要ない動詞」だ。それぞれ見ていこう!

タイプ1:目的語(~を)が必要な動詞 =【他動詞】

「食べる」って言ったら、「何を食べるの?」って聞きたくなるよね。「見る」なら「何を見るの?」、「持つ」なら「何を持つの?」って。このように、「何を?」や「誰を?」という質問が自然に続けられる動詞のことを「他動詞(たどうし、Transitiva verbo)」って言うんだ。

他動詞が使われるとき、その「何を?」「誰を?」にあたる目的語には、原則として対格の -n がつくんだ!

例:

  • Mi manĝas pomon. (私はリンゴ食べる。) ← 何を食べる? → リンゴを
  • Vi vidas katon. (あなたは猫見る。) ← 何を見る? → 猫を
  • Li amas ŝin. (彼は彼女愛する。) ← 誰を愛する? → 彼女を
  • Ŝi legas libron. (彼女は本読む。) ← 何を読む? → 本を
  • Ni faras domon. (私たちは家作る。) ← 何を作る? → 家を

(manĝi 食べる, vidi 見る, ami 愛する, legi 読む, fari する/作る は他動詞だよ)

タイプ2:目的語(~を)が必要ない動詞 =【自動詞】

じゃあ、「寝る」(dormi) ってどうかな?「何を寝るの?」とは普通聞かないよね。「行く」(iri) も「何を」行くかじゃなくて「どこへ」行くかを聞くよね。「座る」(sidi) も「何を」座るわけじゃない。このように、「何を?」「誰を?」という目的語を必要としない動詞のことを「自動詞(じどうし、Netransitiva verbo)」って言うんだ。

自動詞の後ろには、目的語がないから、普通は対格の -n はつかないんだ。

例:

  • Mi dormas. (私は寝る。)
  • Vi iras al la parko. (あなたは公園へ行く。) ← 公園「を」行く、じゃないよね?
  • Li sidas sur la seĝo. (彼は椅子の上に座る。) ← 椅子「を」座る、じゃないよね?
  • Ŝi kuras rapide. (彼女は速く走る。) ← 何か「を」走る、じゃないよね?

(dormi 寝る, iri 行く, sidi 座る, kuri 走る は自動詞だよ)

超重要! esti (~です) の後ろは対格にならない!

前に勉強した動詞 esti (現在形は estas) は、自動詞の代表選手だよ。「AはBです」と言うとき、BはAが「何であるか」を説明しているだけで、Aの行動の目的語ではないよね。

だから、estas の後ろに来る名詞や形容詞には、絶対に対格の -n をつけちゃダメ!

  • ⭕ 正しい: Mi estas studento. (私は学生です。)
  • ❌ 間違い: Mi estas studenton.
  • ⭕ 正しい: La pomo estas ruĝa. (そのリンゴは赤いです。)
  • ❌ 間違い: La pomo estas ruĝan.

「私を」「あなたを」~人称代名詞の対格~

他動詞の目的語が「私」や「あなた」、「彼」のような人称代名詞のときも、もちろん対格の -n をつけるんだ。人称代名詞の対格形は、元の形に -n をつけるだけだよ。

主格 (~は)対格 (~を)読み方 (例)音声
mi (私)min (私を)ミン
vi (あなた)vin (あなたを)ヴィン
li (彼)lin (彼を)リン
ŝi (彼女)ŝin (彼女を)シン
ĝi (それ)ĝin (それを)ヂン
ni (私たち)nin (私たちを)ニン
ili (彼ら/それら)ilin (彼らを/それらを)イリン

Li amas min.

彼は私を愛しています。

Mi vidas vin.

私はあなたが見えます。

Ni helpas ilin.

私たちは彼らを助けます。 (helpi - 助ける)

まとめ:いつ「-n」がつくの?

基本的には、「何を?」「誰を?」と聞ける他動詞の、その「何」「誰」にあたる目的語(名詞、形容詞、代名詞)に -n がつく、と覚えておこう!

自動詞 (esti, dormi, iri など) の後や、estas の後ろには普通つかないよ。

(実は、前置詞の後ろでも方向を示すときに対格を使うことがあるんだけど、それは次の項で詳しく見ていくね!)

このルールが分かると、文を作る時に「あ、この動詞は目的語がいるから、次の名詞には -n がいるな」って判断できるようになるよ。少しずつ慣れていこう!