「文」をまるごと形容詞に変え、名詞を生き生きと描写する究極のテクニックです。
「句」による修飾から「節」による修飾へ
これまでは `un coche rojo` や `un libro de historia` のように、主語・動詞を含まない「句」が名詞を飾り付けるのを見てきました。ここから数ページにわたって学ぶのは、`un coche que funciona con electricidad` (電気で動く車) のように、「主語+動詞」を含む「節」が形容詞の働きをする、最強の飾り付けです。これを「形容詞節」または「関係詞節」と呼びます。
難しく聞こえるかもしれませんが、やっていることはシンプルです。2つの短い文を、関係詞という「接着剤」で繋ぎ合わせて、1つの名詞を詳しく説明しているだけなのです。
文A: Tengo un amigo. (私には一人の友達がいます。)
文B: Él vive en Sevilla. (彼はセビリアに住んでいます。)
合体プロセス:
- 2つの文に共通する名詞 (`un amigo` と `Él`) を見つけます。
- 後ろの文の代名詞 `Él` を、接着剤である関係詞 `que` に変えます。
- 前の文の共通名詞 `un amigo` の直後に、`que` が導く文をくっつけます。
完成!: Tengo un amigo que vive en Sevilla. (私にはセビリアに住んでいる友達がいます。)
スペイン語の関係詞:登場人物紹介
この先のページで、以下の関係詞の仲間たちを一人ひとり、丁寧に紹介していきます。それぞれの役割と得意な場面を知ることが、関係詞節マスターへの道です。
- `que`: 最強の万能選手。人にもモノにも、主格にも目的格にも使える主役。
- `quien(es)`: 「人」専用のスペシャリスト。特に前置詞の後ろで大活躍。
- `el que`, `la que`, `los que`, `las que`: 定冠詞つきの関係詞。これも前置詞の後ろが得意。
- `cuyo`, `cuya`, `cuyos`, `cuyas`: 所有格「〜の」を表す、少しフォーマルな関係詞。
- `donde`, `cuando`, `como`: 場所・時・方法を説明する関係副詞。
まとめ
関係詞節は、文を部品として名詞に埋め込むための究極のテクニックです。まずは、この後のページで、主役である万能選手 `que` の使い方から、じっくりと見ていきましょう。