形容詞の位置①:前か、後ろか、それが問題だ

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同じ単語でも、置く場所で意味が変わる。スペイン語の奥深い世界を探検します。

原則は「後ろ」、しかし「前」に置くと…?

第二章の冒頭で、スペイン語の形容詞は原則として名詞の後ろに置くと学びました。これは、名詞を客観的に分類・識別するための「限定用法」で、「(他の色ではなく)赤い車」のように、事実をそのまま説明します。

しかし、形容詞を名詞のに置くこともできます。前に置かれた形容詞は、その名詞が当然持っている性質を詩的に表現したり、話し手の主観的な感情(なんて素晴らしい!、なんて可哀想な!など)を強調したりする特別な働きをします。

  • 名詞 + 形容詞 (後ろ) → 客観的・分類的な説明。「〜な(名詞)」
  • 形容詞 + 名詞 (前) → 主観的・強調的な説明。「素晴らしい〜」「哀れな〜」

【最重要】位置によって意味が大きく変わる形容詞たち

この「前か後ろか」のルールによって、意味が劇的に変わる形容詞がいくつか存在します。これらをマスターすることが、スペイン語の繊細なニュアンスを理解する鍵となります。

`viejo` (古い、年老いた)

`pobre` (貧しい、哀れな)

`grande` (大きい、偉大な)

💡 `grande` は、男性・女性単数名詞の前では `gran` という形に短縮されます。

`nuevo` (新品の、新しい)

`único` (ユニークな、唯一の)

`cierto` (確かな、ある〜)

まとめ

形容詞の位置は、単なる語順のルールではありません。話し手がその名詞を「客観的な事実」として捉えているのか、それとも「主観的な感情」を込めて語っているのかを示す、重要なサインなのです。次回は、常に前や後ろに置かれることが多い、その他の形容詞の仲間たちを見ていきましょう。