第2回:「これは何?」と「どこにある?」 〜最初の格変化『前置格』〜

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第2回:「これは何?」と「どこにある?」 〜最初の格変化『前置格』〜

Здравствуйте! (ズドラーストヴィチェ! こんにちは!)

前回は、キリル文字の読み方と、「AはBだ」というロシア語の最も基本的な文の形を学びました。今回は、身の回りのものを指して「これは何ですか?」と尋ねる方法と、「〜はどこにありますか?」と場所を尋ねる方法を学びます。そして、場所を表現する中で、ロシア語文法の核心である「格変化」への第一歩を、前置格という一つの格に絞って踏み出します。

「これは〜です」- 指示代名詞 `это`

「これ」を意味するэто (エータ)は、とても便利な言葉です。指し示す名詞の性(男性・女性・中性)に関係なく、形は常にэтоのままです。

例文で比較しよう

Это дом. (これは家です。) - `дом`は男性名詞

Это книга. (これは本です。) - `книга`は女性名詞

Это окно. (これは窓です。) - `окно`は中性名詞

「これは何?」「これは誰?」- 疑問詞 `что?` と `кто?`

`что` (シトー)は「何」、`кто` (クトー)は「誰」を意味する疑問詞です。これも文の頭に置くだけで質問ができます。

例文で比較しよう

Что это? - Это стол. (これは何ですか? - これは机です。)

Что это? - Это лампа. (これは何ですか? - これはランプです。)

Кто это? - Это Антон. (この人は誰ですか? - この人はアントンです。)

Кто это? - Это Анна. (この人は誰ですか? - この人はアンナです。)

「どこに?」と最初の格変化【前置格】

「〜の中に」「〜の上に」といった場所を表すには、前置詞 в (フ/ヴ) や на (ナ) を使います。そして、ここが重要です。これらの前置詞の後ろに来る名詞は、語尾が変化します。この形を前置格と呼びます。

基本ルール:男性名詞と中性名詞の語尾は に、女性名詞の語尾は になります。

例文で格変化を比較しよう

`в` (〜の中に) を使った例:

Антон в доме. (アントンは家の中にいます。) - `дом` (男) → `доме`

Анна в школе. (アンナは学校にいます。) - `школа` (女) → `школе`

Письмо в конверте. (手紙は封筒の中にあります。) - `конверт` (男) → `конверте`

`на` (〜の上に) を使った例:

Книга на столе. (本は机の上にあります。) - `стол` (男) → `столе`

Лампа на столе. (ランプは机の上にあります。) - `стол` (男) → `столе`

Картина на стене. (絵は壁にかかっています。) - `стена` (女) → `стене`


今回のまとめ

今回は、ロシア語の格変化への第一歩を踏み出しました。

  1. `это`は、後ろの名詞の性に関係なく「これは〜」という意味で使える。
  2. `что?`は「何?」、`кто?`は「誰?」を尋ねる疑問詞。
  3. 場所を表す前置詞`в`や`на`の後では、名詞の語尾が変化する(前置格)。基本は`-е`が付く。

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