第1回:ロシア語への扉 〜キリル文字と『AはBだ』の基本ルール〜

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第1回:ロシア語への扉 〜キリル文字と『AはBだ』の基本ルール〜

Здравствуйте! (ズドラーストヴィチェ! こんにちは!)

ようこそ、ロシア語の世界へ。この言語は、トルストイやドストエフスキーの文学、チャイコフスキーの音楽など、奥深い文化を育んできました。その学習は、一見すると馴染みのない文字や複雑な文法に戸惑うかもしれません。しかし、一つ一つのルールを丁寧に、着実に学んでいけば、必ずその美しい構造が理解できます。

このサイトでは、焦らず、一歩一歩進むことをお約束します。今回は、ロシア語学習の最初のステップである「キリル文字」を学び、そして動詞を使わずに作れる、最も基本的な文の形をマスターしましょう。

最初のステップ:キリル文字に慣れよう

ロシア語は、私たちが普段使うアルファベットとは違う「キリル文字」を使います。まずは、この文字の読み方から始めましょう。英語のアルファベットと形が似ていて意味も同じもの、形は似ているが全く違う音のもの、全く新しい形のもの、とグループで覚えるのが効果的です。

キリル文字 (一部)

キリル文字名称音の目安ポイント
А, аアー英語の'A'と同じ
К, кカー英語の'K'と同じ
М, мエム英語の'M'と同じ
О, оオー英語の'O'と同じ
Т, тテートゥ英語の'T'と同じ
В, вヴェー英語の'B'ではなく'V'の音!
Н, нエヌ英語の'H'ではなく'N'の音!
Р, рエル英語の'P'ではなく巻き舌の'R'の音!
Б, бベー新しい形。英語の'B'の音。
Г, гゲー新しい形。英語の'G'の音。
Д, дデードゥ新しい形。英語の'D'の音。
П, пペー新しい形。英語の'P'の音。
Я, яヤー「私」を意味する重要な文字。

まずは、Анна(アンナ)、торт(トート/ケーキ)、атом(アトム)など、知っている音に近い単語から読んでみる練習をしましょう。

be動詞がない?ロシア語の基本文「AはBだ」

ここで、ロシア語の非常に重要なルールを学びます。現在のことを話すとき、英語のbe動詞 (is, am, are) にあたる動詞は、通常使いません

つまり、「私は学生です」と言いたいとき、「私」と「学生」という単語を並べるだけで文が完成します。

名詞文の構造

AはBです。 → A B.

Я студент. (ヤー ストゥヂェーント)
私 (は) 学生 (です)。

Антон врач. (アントン ヴラーチ)
アントン (は) 医者 (です)。

名詞の性と見分け方

ロシア語の名詞には、男性・女性・中性の3つの性があります。これは、単語の最後の文字(語尾)で見分けることができます。

例えば、話者が女性の場合、「私は学生です」は女性名詞の形を使ってこう言います。

Я студентка. (ヤー ストゥヂェーントカ) - 語尾が-каに変わっています。


今回のまとめ

ロシア語学習の、最も重要で基礎的な第一歩を踏み出しました。

  1. キリル文字には、英語と似たもの、違うもの、新しいものがある。少しずつ慣れていく。
  2. 現在の「AはBです」という文には、be動詞を使わず、単語を並べるだけで良い。
  3. 名詞には男性・女性・中性の3つの性があり、語尾で見分けられる。

今回は、動詞の活用や格変化といった複雑なルールには一切触れていません。まずはこの「文字」と「AはBだ」という基本構造にしっかりと慣れることが、今後の学習の確かな土台となります。

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