第6回:「〜の」と「〜がない」の表現 〜生格の基本〜
Здравствуйте!
今回は、ロシア語の6つの格変化の中でも、特に使用頻度が高い重要な格、「生格(せいかく)」の基本的な使い方を学びます。「これはアントンの本です」といった所有の表現や、「私には時間がない」といった存在の否定など、会話に欠かせない表現がこの生格によって作られます。まずは、単数形の名詞が生格になるときの形の変化から見ていきましょう。
生格の作り方(単数名詞)
名詞が「〜の」という意味になったり、否定されたりするとき、語尾が以下のように変化します。
- 男性名詞 (子音語尾) → 語尾に -а を付ける。
- 中性名詞 (語尾-о) → 語尾の `о` を -а に変える。
- 女性名詞 (語尾-а) → 語尾の `а` を -ы に変える。
例文で格変化を比較しよう
Это стол. (これは机です。) → Это ножка стола. (これは机の脚です。) - `стол` (男) → `стола`
Это книга. (これは本です。) → Это автор книги. (これがその本の著者です。) - `книга` (女) → `книги` (г,к,х,ж,ш,ч,щの後ではы→и)
Это окно. (これは窓です。) → Это цвет окна. (これが窓の色です。) - `окно` (中) → `окна`
生格の使い方①:所有・所属「〜の」
「AのB」と言いたいときは、`[B(主格)] + [A(生格)]` の語順になります。
例文で所有表現を比較しよう
Это дом Антона. (これはアントンの家です。)
Это сумка Анны. (これはアンナのカバンです。)
Это центр города. (これが街の中心です。) - `город` (街) → `города`
生格の使い方②:否定存在構文「〜がない」
「〜を持っている」は `У меня есть ...` という構文を使いますが、「持っていない」「〜がない」と否定するときは、`есть` の代わりに нет (ニェット) を使い、ないモノを生格にします。これは非常に重要なルールです。
例文で「ある」と「ない」を比較しよう
У меня есть брат. (私には兄がいます。) → У меня нет брата. (私には兄がいません。)
У меня есть машина. (私は車を持っています。) → У меня нет машины. (私は車を持っていません。)
У меня есть время. (私には時間があります。) → У меня нет времени. (私には時間がありません。) - `время` (時間)は不規則な変化
今回のまとめ
- 生格は「〜の」という所有や、「〜がない」という否定存在を表すのに使われる。
- 男性・中性名詞は`-а`、女性名詞は`-ы`に語尾が変化するのが基本。
- `У [生格] + нет + [生格]` は「〜は…を持っていない/いない」という重要構文。