第5回:過去の出来事を話そう 〜シンプルな過去形と「アスペクト」の序章〜
Здравствуйте!
現在形の文が作れるようになったので、今回は「〜した」という過去形の作り方を学びます。朗報です!ロシア語の過去形は、現在形よりもずっとシンプルです。主語の人称(私、君、彼…)による変化はなく、代わりに主語の性・数によって形が変わります。そして、ロシア語の動詞の最大の特徴である「アスペクト(体)」という概念への、最初の扉を開けてみましょう。
シンプルな過去形の作り方
動詞の原形の語尾 -ть を取り、主語の性・数に合わせて以下の語尾を付けます。
- 主語が男性 → -л
- 主語が女性 → -ла
- 主語が中性 → -ло
- 主語が複数 → -ли
動詞 `читать` (読む) の過去形:
例文で過去形の変化を比較しよう
Антон читал журнал. (アントンは雑誌を読んでいました。) - 主語が男性
Анна читала журнал. (アンナは雑誌を読んでいました。) - 主語が女性
Они читали журнал. (彼らは雑誌を読んでいました。) - 主語が複数
Иван говорил по-русски. (イワンはロシア語を話していました。) - `говорить`の過去形
Мария говорила по-русски. (マリアはロシア語を話していました。) - `говорить`の過去形
「アスペクト(体)」への序章
ここで、ロシア語の動詞の最も重要な性質に少しだけ触れておきましょう。ロシア語の動詞のほとんどは、「不完了体」と「完了体」というペアになっています。
- 不完了体 (これまで私たちが学んだ動詞): 動作のプロセス・継続・反復を表す。「〜していた」「よく〜したものだ」。
- 完了体: 動作の完了・結果を表す。「〜し終えた」「(一回だけ)〜した」。
アスペクトのペアの例
不完了体 ⇔ 完了体
читать (読む) ⇔ прочитать (読み終える)
делать (する) ⇔ сделать (し終える)
今回のレッスンで使った過去形は、すべて「不完了体」の過去形です。つまり、「(そのとき)〜していた」というニュアンスになります。完了体の詳しい使い方や過去形は、今後のレッスンでじっくり学びますので、ご安心ください。
今回のまとめ
- ロシア語の過去形は、主語の性・数に合わせて、語尾が`-л, -ла, -ло, -ли`に変わる。
- 人称(私、君など)にはよらないので、形はシンプル。
- ロシア語の動詞には、プロセスを表す「不完了体」と、完了を表す「完了体」のペアがある。