第26回:主語のない世界 〜無人称文と`можно/нельзя`〜
Здравствуйте!
ロシア語の会話では、「寒い」「面白い」「〜できる」「〜してはいけない」のように、日本語と同じく、特定の主語を必要としない「無人称文」が非常に多く使われます。今回は、このようなロシア語らしい表現をマスターしましょう。特に、可能・許可を表す можно と、不可能・禁止を表す нельзя は、日常会話で頻出する超重要単語です。
状況述語による無人称文
天候、時間、感情、評価などを表すとき、主語なしで状況述語(副詞が述語になったもの)を単独で使うことができます。
例文で状況述語の使い方を学ぼう
Холодно. (寒いです。)
Интересно. (面白いです。)
Уже поздно. (もう遅いです。)
Трудно говорить по-русски. (ロシア語を話すのは難しい。)
感覚・状態を表す無人称文(与格構文)
「(誰々)にとって〜だ」と、その状態を感じる人を表す場合は、その人を与格にします。これも非常にロシア語的な表現です。
例文で与格構文を比較しよう
Сегодня тепло. (今日は暖かいです。) - 一般的な状況
Мне тепло. (私は暖かいです。) - 私がそう感じている
Это скучный фильм. (これは退屈な映画だ。) - 形容詞を使った表現
Ему было скучно. (彼は退屈だった。) - 彼がそう感じていた
可能・許可・禁止の表現 `можно / нельзя`
これらの言葉も、主語なしで使われる無人称文の代表格です。
`Можно` (モージナ):「〜できる」「〜してもよい」
`Можно` の例文
Можно войти? (入ってもよろしいですか?)
Здесь можно курить. (ここではタバコを吸うことができます。)
Можно мне кофе? (私にコーヒーをいただけますか?) - 与格と共に
`Нельзя` (ニリズャー):「〜できない」「〜してはいけない」
`Нельзя` の例文
Здесь нельзя фотографировать. (ここで写真を撮ってはいけません。)
Так говорить нельзя. (そのように話してはいけません。)
Мне нельзя пить алкоголь. (私はアルコールを飲むことを禁じられています。) - 与格と共に
今回のまとめ
- ロシア語では `холодно` (寒い) のように、主語を必要としない無人称文が多用される。
- 「誰々にとって〜だ」と状態を感じる人を言うときは、与格 (`мне`, `тебе`...) を使う。
- `можно` は「可能・許可」、`нельзя` は「不可能・禁止」を表す超重要単語。