第22回:お願いと指示の表現 〜動詞の命令形〜
Здравствуйте!
今回は、「窓を開けて」「これを読んでください」といった、相手に何かをお願いしたり、指示したりするときの「命令形」を学びます。ロシア語の命令形を使いこなす鍵は、これまで学んできた「アスペクト(体)」の知識です。「(ずっと)勉強しなさい」というプロセスを求めるのか、「(それを)やり終えなさい」という結果を求めるのかで、不完了体と完了体を使い分けます。これにより、指示のニュアンスを細かく表現できます。
命令形の作り方 (`ты`に対して)
親しい「君 (`ты`)」に対する命令形は、多くの場合、動詞の現在形(完了体の場合は未来形)の語幹から作られます。
- 語幹が母音で終わる場合 → 語尾に -й を付ける (例: `читать` → `читай`)
- 語幹が子音で終わる場合 → 語尾に -и を付ける (例: `говорить` → `говори`)
アスペクトと命令形
命令形で最も重要なのは、どちらのアスペクトの動詞を使うか、ということです。
不完了体命令:「プロセス」や「反復」を指示
特定の結果を求めず、その動作をすること自体や、繰り返し行うことを指示します。
不完了体命令の例文
Читай эту книгу. (この本を読みなさい。) - 読むという行為を指示
Говорите, пожалуйста, медленнее. (どうぞ、もっとゆっくり話してください。) - 話すというプロセスへの要求
Бери! (取りなさい!) - 「どうぞ取って」という一般的な勧め
完了体命令:「一回きりの完了」を指示
具体的な一つの行為を、最後までやり遂げることを指示します。
完了体命令の例文
Прочитай эту книгу до завтра. (明日までにこの本を読み終えなさい。) - 読み終えるという結果を指示
Скажите, пожалуйста, где метро? (すみません、地下鉄はどこか教えてください。) - 一回きりの「教える」という行為を要求
Дай мне ручку. (私にペンをちょうだい。) - `дать` (与える)の不規則な命令形
`Вы` に対する丁寧な命令
丁寧な命令は簡単です。`ты`に対する命令形の語尾に -те を付けるだけです。
читай (読んで) → читайте (読んでください)
скажи (言って) → скажите (言ってください)
今回のまとめ
- ロシア語の命令形は、アスペクトによってニュアンスが変わる。
- 不完了体命令は「プロセス・反復」、完了体命令は「完了・一回きりの行為」を指示する。
- 丁寧な命令は、`-те` を付けるだけで作れる。