第13回:「行く」にも2種類? 〜移動の動詞 `идти` と `ходить`〜
Здравствуйте!
今回は、ロシア語動詞のもう一つの非常に大きな特徴、「移動の動詞」を学びます。「行く」を意味する動詞は、英語なら `go` の一つですが、ロシア語では「今、一方向に向かって行っているのか」それとも「習慣的に行ったり来たりしているのか」で、全く違う動詞を使い分けます。今回は、最も基本的な「歩いて行く」を表すペア、идти と ходить の違いを理解しましょう。
定向動詞 `идти`:「(今、一方向に)行く」
定向動詞(ていこうどうし)идти (イッチー) は、特定の時間に、特定の一方向へ向かっている動きを表します。一回きりの、まっすぐな矢印のイメージです。
`идти` の使い方
用法① 今、まさに行く途中
Куда ты идёшь? (どこへ行くの?)
Я иду в магазин. (私は店へ向かっているところです。)
用法② 具体的な一回きりの予定
Завтра мы идём в театр. (明日、私たちは劇場へ行きます。)
不定向動詞 `ходить`:「(習慣的に)行く、通う、行ってくる」
不定向動詞(ふていこうどうし)ходить (ハヂーチ) は、方向を定めない動きや、反復・習慣的な動き、往復の動きを表します。ぐるぐるとした矢印のイメージです。
`ходить` の使い方
用法① 習慣・反復
Я каждый день хожу на работу. (私は毎日、職場へ通っています。)
用法② 往復した事実
Вчера я ходил в кино. (昨日、私は映画へ行ってきました。)
用法③ 移動能力
Мой сын уже ходит. (私の息子はもう歩きます。)
今回のまとめ
移動の動詞の使い分けは、慣れるまで少し難しく感じるかもしれません。
- идти (定向)は、一回きりの、一方向への具体的な移動を表す。(→)
- ходить (不定向)は、習慣的な移動や、往復の移動を表す。(⇔, ぐるぐる)
「今どこへ行くの?」と聞くなら `Куда ты идёшь?`、「週末はどこかへ行くの?」と習慣を聞くなら `Куда ты ходишь по выходным?` となります。この違いを意識することが大切です。