第9回:ロシア語動詞の核心! 〜アスペクト(体)の使い分け(過去形編)〜
Здравствуйте!
第5回で、ロシア語の動詞のほとんどが「不完了体」と「完了体」のペアになっている、という「アスペクト(体)」の概念に少しだけ触れました。今回は、このロシア語動詞の核心であるアスペクトの使い分けに、本格的に踏み込みます。特に、過去の出来事を話すときの「不完了体過去」と「完了体過去」の違いを、例文を通して徹底的に比較し、その感覚を掴みましょう。
アスペクトのペアをおさらい
まず、アスペクトのペアの基本的なイメージを確認しましょう。
- 不完了体 (例: читать): 動作のプロセス、継続、反復・習慣を表す。
- 完了体 (例: прочитать): 動作の完了、結果、一回きりの行為を表す。
アスペクトの主なペア
不完了体 (プロセス) | 完了体 (結果) | 意味 |
---|---|---|
читать | прочитать | 読む ⇔ 読み終える |
писать | написать | 書く ⇔ 書き終える |
делать | сделать | する ⇔ し終える |
смотреть | посмотреть | 見る ⇔(一回)見る |
過去形での使い分け
過去の出来事を話すとき、このアスペクトの使い分けが非常に重要になります。
① プロセス・継続 vs 完了・結果
例文で比較しよう
不完了体過去: 動作が進行中だったことを表す。
Вчера я весь день читал книгу. (昨日、私は一日中本を読んでいました。)
完了体過去: 動作が完了し、結果が出たことを表す。
Вчера я наконец прочитал эту книгу. (昨日、私はついにこの本を読み終えました。)
② 反復・習慣 vs 一回きりの行為
例文で比較しよう
不完了体過去: 過去に何度も繰り返された行為を表す。
Раньше я часто писал письма. (以前、私はよく手紙を書いていました。)
完了体過去: 過去に一回だけ行われた行為を表す。
Вчера я написал письмо другу. (昨日、私は友達に手紙を(一通)書きました。)
否定文では、「(結局)〜しなかった」という結果を表すため、完了体がよく使われます。
Я ещё не сделал домашнее задание. (私はまだ宿題を終えていません。)
今回のまとめ
アスペクトの使い分けはロシア語学習の大きな山ですが、基本的なイメージは掴めましたか?
- 不完了体過去は「プロセス・継続・反復」を表す(〜していた)。
- 完了体過去は「完了・結果・一回きりの行為」を表す(〜し終えた、〜した)。
「その動作は、過程に注目しているのか?それとも結果が出たのか?」と自問自答することが、使い分けの鍵となります。