入門編:ハングルの完成 〜パッチムと発音変化のルール〜
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前回は、ハングルの基本である母音と子音を学びました。今回は、ハングルを完成させるための最後のピース、「パッチム(받침)」を学びます。これは、文字ブロックの一番下に来る子音のことで、日本語の「ん」や「っ」のような働きをします。そして、このパッチムが存在することで、韓国語の奥深く、そして少し厄介な「発音変化」の世界への扉が開かれます。
パッチム(終声)とは?
ハングルの文字ブロックは、「子音+母音」の2パーツ構造だけでなく、「子音+母音+子音」の3パーツ構造になることがあります。この一番下に来る子音を「パッチム」と呼びます。
子音 ㄱ + 母音 ㅏ + パッチム ㄱ = 각 (カク)
子音 ㅅ + 母音 ㅗ + パッチム ㄴ = 손 (ソン)
パッチムの代表音
パッチムとして使える子音はたくさんありますが、実際に発音される音は以下の7種類に代表されます。口の形をそこで止めるのがポイントです。
代表音 | この音で発音されるパッチムの例 | 口の形 |
---|---|---|
[k] | ㄱ, ㅋ, ㄲ | 「クッ」の「ッ」のように喉を閉じる |
[n] | ㄴ | 「ン」と舌を上の歯茎につける |
[t] | ㄷ, ㅅ, ㅆ, ㅈ, ㅊ, ㅌ, ㅎ | 「トッ」の「ッ」のように舌を上の歯茎につける |
[l] | ㄹ | 「ル」と舌を上の歯茎につける |
[m] | ㅁ | 「ム」と口を閉じる |
[p] | ㅂ, ㅍ | 「プッ」の「ッ」のように口を閉じる |
[ŋ] | ㅇ | 日本語の「ん(ng)」と同じ |
発音変化の初歩:連音化(リエゾン)
韓国語の発音を学ぶ上で最も重要なルールが「連音化」です。これは、パッチムの後に母音で始まる文字が続くと、パッチムの音が次の文字の無音の子音`ㅇ`の位置に移動して発音される現象です。
例文で連音化を体感しよう
`책은` (本は) の場合:
文字通り: 책 (chaek) + 은 (eun)
実際の音: 채근 (chae-geun) - パッチム`ㄱ`[k]が後ろの`ㅇ`に移動
`한국어` (韓国語) の場合:
文字通り: 한 (han) + 국 (guk) + 어 (eo)
実際の音: 한구거 (han-gu-geo) - パッチム`ㄱ`[k]が後ろの`ㅇ`に移動
この連音化があるため、韓国語は文字通りの発音と実際の音が異なることが多いのです。しかし、このルールに慣れると、発音が非常に滑らかになります。
今回のまとめ
- ハングルは「子音+母音+パッチム」の3パーツ構造になることがある。
- パッチムの発音は、代表的な7つの音に集約される。
- パッチムの後に母音が続くと、パッチムの音が移動する「連音化」が起こる。
これで、ハングルの全ての構造を学びました。おめでとうございます!次回からは、いよいよこのハングルを使って、文法の世界に入っていきます。