評論文対策問題 105(本文1200字・設問3問×選択肢5+英訳)
本文(抜粋)
「君ならできると思ったよ」
そんな言葉に背中を押されたことがある人も多いだろう。
人は、他者からの期待によって、思いがけない力を引き出されたり、
自分の可能性に気づかされたりする。
期待されることは、時に自信を与える励ましになる。
しかし一方で、「期待に応えるべき」というプレッシャーとなり、
本来の自分を見失わせる要因にもなる。
周囲が抱くイメージと、実際の自分の間にズレがあるとき、
人は「その期待通りに振る舞わねばならない」と感じてしまう。
そうして作られた“期待される自分”を長く演じていると、
本音がわからなくなり、言動がどこか不自然になる。
期待に応えることそれ自体が悪いのではない。
問題は、その期待が「誰のもので、どこから来たのか」を忘れ、
自分自身の声を聞けなくなることだ。
周囲の期待と自己理解のあいだに、
健やかな距離感を保つこと。
他人の期待をきっかけにしながらも、
最終的には「自分がどうありたいか」に立ち返ること。
その繰り返しの中でしか、「自分らしさ」は見つけられないのかもしれない。
【設問1】筆者の主張として最も適切なものはどれか。
- 他人の期待は、自分の意志とは無関係である。
- 期待はすべて断ち切るべきプレッシャーである。
- 期待に応えることで、自分らしさが自然に見つかる。
- 期待に振り回されず、自分の声に立ち返ることが大切である。
- 他者から期待されないほうが、自由に生きられる。
【設問2】本文に照らして正しいものはどれか。
- 周囲のイメージ通りに振る舞うことで、本音がより明確になる。
- 期待に応えようとすると、言動が自然になる傾向がある。
- 期待を「どこから来たのか」と問うことが重要である。
- 他人の期待を常に優先することで、自分を高められる。
- 期待されることに対しては、常に拒絶の姿勢をとるべきである。
【設問3】筆者の考える「自分らしさ」の形成について、適切なものはどれか。
- 他人の期待に完全に従うことで育まれる。
- 他人の期待を見極め、時に距離を取ることで形づくられる。
- 自分らしさは本来、生まれつき決まっている。
- 期待に応え続けることが、自分らしさの証である。
- 期待されないことで、自分を知る機会が増える。
【正解と解説】
- 設問1:正解→ 4
「期待に振り回されず、自分の声に立ち返る」ことが本文の主眼。 - 設問2:正解→ 3
「期待がどこから来たか」を忘れることへの警鐘が本文にある。 - 設問3:正解→ 2
「期待と自己理解の距離感」によって「自分らしさ」が育つという構図。
語句説明:
自己理解:自分の気持ち・能力・性格などを主観的にも客観的にも理解すること。
【本文の英訳(要約)】
Being expected to shine can light us up—or wear us down. If we forget whose hopes we’re carrying, we forget ourselves. Let expectation be a spark, not a script. Return to your own voice, again and again.