評論文対策問題 110(本文1200字・設問3問×選択肢5+英訳)
本文(抜粋)
「答えが出ないまま終わるなんて、意味がない」
そう感じる人も少なくないかもしれない。
学校でも、仕事でも、明快な“正解”を出すことが評価されやすい。
しかし一方で、「問い続けること」そのものに意味がある場面も存在する。
むしろ、すぐに結論が出てしまう問いには、それ以上深く考える余地が少ないとも言える。
一方、答えが定まらない問いは、私たちに考え続ける時間と余白を与える。
「なぜそれを信じているのか?」「本当にそれでよいのか?」
そうした問いは、今の自分の立場や価値観を揺さぶる。
そしてその揺さぶりが、思考や対話を持続させる原動力になる。
問いを持ち続けるということは、決して“迷っているだけ”ではない。
むしろ、それは現状を疑い、新しい可能性を模索し続ける姿勢のあらわれだ。
すぐに答えを出すことだけが知性ではない。
答えのない問いに耐えること、
答えが出そうにない問いにも向き合い続けること、
そこにこそ、考える人間としての深さがあるのではないだろうか。
【設問1】筆者の主張として最も適切なものはどれか。
- 問いは、明確な答えを持つものだけが価値を持つ。
- 答えが出ない問いは、思考の妨げとなる。
- 問いを持ち続けること自体に、思考の価値がある。
- 迷いを感じるときは、問いを手放すべきである。
- 問いは放置せず、すぐに解決すべきである。
【設問2】本文に照らして正しいものはどれか。
- 答えを保留することは、責任の放棄である。
- 結論が出る問いのほうが、人の思考を深める。
- 問いが続くことで、自分の立場を見直すきっかけになる。
- 問いを持ち続けることは、非論理的な態度である。
- 答えが出ない問いには、考える意味がない。
【設問3】筆者が述べる「考える人間としての深さ」に関係する姿勢はどれか。
- あいまいな問題には関わらず、答えの出る問題に集中する。
- 問いを明確化し、結論を早く出す訓練を積む。
- 結論が見えない問いにも、粘り強く向き合い続ける。
- 論争を避けるため、問いをあえて表に出さない。
- 問うよりも、語られた答えを記憶することを優先する。
【正解と解説】
- 設問1:正解→ 3
「問い続けることに意味がある」が本文の主張の中心。 - 設問2:正解→ 3
「立場や価値観を揺さぶる」と本文に書かれている。 - 設問3:正解→ 3
「答えが出ない問いにも向き合い続ける」態度が「深さ」として称賛されている。
語句説明:
余白:すぐに結論を出さず、考え続けるための空間・時間。ここでは知的探求の余地。
【本文の英訳(要約)】
Not all questions need answers. Some exist to stretch our minds. To carry a question is not to be lost— but to keep walking where the path isn’t fixed.