評論文対策問題 055(本文1000字・選択肢10個+英訳)

本文(抜粋)

学びとは「答えを知ること」ではなく、「問いを持つこと」から始まる。
しかし私たちはしばしば、「正解を早く出すこと」や「効率よく解決すること」にばかり意識を向けてしまう。
情報化社会においては、検索すれば答えがすぐに手に入るため、「問う」よりも「調べる」ことが主となってしまっている。
だが、検索できる答えには限界がある。
それはすでに「誰かが用意した問い」に対する「既にある答え」でしかない。
一方で、「なぜこうなるのか」「他の可能性はないのか」といった問いは、自らの視点や経験から生まれるものであり、その人自身の思考の深さを映し出す。
問いを持つとは、世界の見方を変えることでもある。
同じ現象でも、「なぜそれが必要なのか」「そもそも当たり前なのか」と問うことで、新たな発見や見直しが可能になる。
また、「正解のない問い」こそが、自分の価値観や立場を揺さぶり、他者と対話する余地を生む。
問いは、知識を増やすための道具ではなく、考え続けるための土台である。
情報を受け取るだけではなく、「自分は何を問うているのか」「なぜそれを問いたいのか」と向き合うこと。
それが、単なる知識の習得ではなく、「思考する存在」としての人間を支えるのではないだろうか。

【問題】

筆者の主張に最も合致するものを選べ。

  1. 問いよりも答えの正確さを重視するのが、本来の学びの姿である。
  2. 知識は検索すれば得られるため、問いを持つ力は不要になりつつある。
  3. 正解のある問いを反復することが、深い思考を育てる最善の方法である。
  4. 問いを持つことは、自分の知識量の少なさを露呈させてしまう。
  5. 問い続けることは、非効率であり現代の学習には不向きである。
  6. 問いは、考え続けるための土台として人間の思考を支える。
  7. 人は誰かの問いに答えることによってのみ、成長できる。
  8. 正解が用意されている問題に集中することで、思考の迷いをなくせる。
  9. 問いを持つことは、情報社会においては時間の無駄である。
  10. 答えを探すよりも、問いを避けることで思考の自由が保たれる。
【正解と解説】

正解:6

語句説明:
正解のない問い:明確な答えが一つに定まらず、立場や文脈によって多様な見解が成り立つ問い。

レベル:共通テスト対策(長文1000字+英訳)|更新:2025-07-23|問題番号:055


【本文の英訳】

Learning begins not with knowing the answer, but with asking a question. In a world where answers are easy to find, we often overlook the power of questioning. Search engines can give us information, but only for questions someone else has already asked. Our own questions—“why,” “what else,” “is it really so”—reflect deeper thought. A question can shift how we see the world. Even without answers, questioning can lead to new perspectives, dialogue, and self-exploration. The value of a question lies not in resolution, but in its ability to keep us thinking. To ask what we truly want to know—that is to think as a human.