評論文対策問題 099(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
「答えを出すこと」が重視される場面は多い。
テストでは速く正確な答えが求められ、会議では的確な提案を期待される。
もちろん、問題解決において「答えを出す力」は重要だ。
けれども、すぐに答えを出そうとするあまり、本当はまだ熟していない問いに、
無理やり結論を与えてしまうことはないだろうか。
ときに問いは、答えを急がずに、長く持ち続けることで深まっていく。
すぐに言葉にできない違和感。
はっきりとは見えないけれど、どこかにある矛盾やモヤモヤ。
そうした感覚をすぐに片づけてしまわず、「問い」として残すことが、
思考を持続させ、新たな視点を育てるきっかけになる。
答えることばかりに慣れた私たちにとって、問い続けることは勇気がいる。
だが、答えを出す以上に、「問いとともに生きる」姿勢にこそ、
思考する人としての深さが宿るのではないだろうか。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 早く答えを出すことが、すべての問題解決において最も重要である。
- 違和感はできるだけ早く忘れて、日常に集中するべきだ。
- 思考とは、正解を手に入れるスピードを競うことである。
- 問いを持ち続けることは、答えを出す力を弱める。
- 問いが生まれたら、すぐに明確な答えを設定すべきである。
- はっきりしない感覚も、問いとして大切にする姿勢が思考を深める。
- 疑問は放置するべきではなく、早急に処理するのが賢明である。
- 問いを引きずることは、思考力のなさを示している。
- 問い続けるよりも、明るくポジティブであることが重要である。
- 問いを持ち続けることは、社会生活には不向きである。
【正解と解説】
正解:6
- 選択肢1:× 答えの速さより「問いを保つ力」が重視されている。
- 選択肢2:× 違和感は「思考のきっかけ」とされている。
- 選択肢3:× スピードではなく「深さ」が大切とされる。
- 選択肢4:× 問いを持ち続けることで「視点が育つ」とされている。
- 選択肢5:× 結論を急ぐことの危うさが述べられている。
- 選択肢6:◎ 「モヤモヤを問いとして持つ」ことが本文の核。
- 選択肢7:× 早急な処理より「持続させること」が推奨されている。
- 選択肢8:× 問いを引きずる=思考の深さと肯定されている。
- 選択肢9:× ポジティブよりも「違和感への向き合い」が重視される。
- 選択肢10:× 社会的にも「問い続ける姿勢」が必要とされている。
語句説明:
熟していない問い:まだ十分に考えられておらず、すぐに答えを出すには早すぎる問題のこと。
【本文の英訳】
We rush to answer. But some questions aren't ready to be solved. They need time, silence, and space. To live with a question is not failure— it is how thinking breathes.