評論文対策問題 100(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
「変わること」が求められる時代だ。
新しい技術、新しい価値観、新しい働き方。
変化に適応する柔軟さこそが、現代人に必要な力だとたびたび言われる。
たしかに、環境が変われば、考えや方法も変えていく必要がある。
だが、その一方で、「変わらずにあり続けているもの」に目を向けたことはあるだろうか。
たとえば、毎日通る通学路の木。
家族がいつも通り交わす「いってらっしゃい」「おかえり」。
技術も制度も社会も目まぐるしく変わる中で、
変わらずそこにあるものが、心の支えや拠り所になっていることがある。
変わらないものは、古いものや遅れたものではなく、「変えずに受け継がれてきたもの」でもある。
そこには、時代を越えてなお価値を持ち続ける理由があるのかもしれない。
「変わらなければならない」という焦りの中で、
「変わらないものを守る」という静かな選択肢も、
私たちは忘れずに持っていたい。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 変化に対応するには、過去の価値をすべて捨てるべきである。
- 変化しないことは、現代社会において否定されるべきである。
- 変わらないものに執着することは、成長を妨げる。
- すべての価値観は、新しさによって更新されるべきである。
- 技術の発展には、伝統的な考え方は不要である。
- 変わらないものにも、時代を越えて残るだけの価値がある。
- 変化を拒むことが、最も安定した生き方である。
- 変わらないものは、思考を停止させる原因である。
- 変わるより、変わらないことの方が楽である。
- 変化と無関係なものにこそ、未来の鍵がある。
【正解と解説】
正解:6
- 選択肢1:× 「すべて捨てる」必要はなく、受け継がれるものに価値を見出している。
- 選択肢2:× 否定ではなく、「拠り所としての価値」が肯定されている。
- 選択肢3:× 執着というより「支え」としての役割が論じられている。
- 選択肢4:× 「更新されるべき」とは断じられていない。
- 選択肢5:× 技術と伝統は対立ではなく共存できると暗示されている。
- 選択肢6:◎ 本文の核心。「変えずに受け継がれてきたもの」への敬意。
- 選択肢7:× 変化を否定せず、「変えるものと守るもの」のバランスが大切とされている。
- 選択肢8:× 思考停止ではなく、「選ばれて残ってきたもの」とされる。
- 選択肢9:× 楽かどうかではなく「価値がある」かが問われている。
- 選択肢10:× 無関係ではなく「共に生きる」ことが主張されている。
語句説明:
拠り所:精神的に頼るもの、心の支え。本文では変わらない存在がそれに当たる。
【本文の英訳】
Change is praised. But what doesn’t change— the same tree on your walk, the same “take care” each morning— these quiet things hold us steady. Not all value is new. Some truths endure by staying still.