評論文対策問題 096(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
「なんで伝わらないんだろう」
自分の言ったことが相手にうまく伝わらなかったとき、そう思うことがある。
だが、そのとき本当に必要なのは、「なぜ伝わらないのか」を問い続けることではなく、
「じゃあ、どう言えば伝わるか」を考えてみることなのかもしれない。
言い換えること。それは、あきらめではない。むしろ、相手とつながろうとする意志の表れだ。
同じ内容でも、言葉を変えることで初めて相手の中に届くことがある。
たとえば難しい専門用語を日常語に直すだけで、関心のなかった人が耳を傾けてくれることがある。
逆に、どんなに正確でも「一度しか言わない」ことで対話の扉は閉ざされてしまうこともある。
言い換えとは、相手のことを想像し、届け方を工夫する作業だ。
それは、単なる「やさしい言葉」ではなく、「届かせたい気持ち」の表現なのだと思う。
言い換えることを面倒だと感じたときこそ、言葉にできなかった思いが、まだそこに残っているのかもしれない。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 言い換えは、言葉の正確性を失うため避けるべきである。
- 伝わらないときは、相手ではなく自分の思いを疑うべきである。
- 一度伝えた言葉は、繰り返す必要がない。
- 言い換えることで、相手との距離を遠ざけてしまう。
- 伝わらないことに腹を立てるより、どう伝えるかを考えることが大切である。
- 届かない言葉は、あきらめて放っておくのがよい。
- 正確な表現ほど、誰にでも伝わる可能性が高い。
- 言葉を変えることは、自分の意図をゆがめる行為である。
- 一貫した言葉を使い続けることが信頼につながる。
- 言い換えるよりも、沈黙のほうが誠実である。
【正解と解説】
正解:5
- 選択肢1:× 正確性より「届かせたい気持ち」が重視されている。
- 選択肢2:× 疑うのではなく「言い換えてみる」姿勢が大切とされる。
- 選択肢3:× 「一度しか言わないこと」が閉ざすとされている。
- 選択肢4:× 言い換えは「距離を近づける努力」として肯定されている。
- 選択肢5:◎ 「伝わらない」ではなく「どう伝えるか」=本文の中心主張。
- 選択肢6:× あきらめではなく「工夫する意志」が強調されている。
- 選択肢7:× 正確でも伝わらないことがあると述べられている。
- 選択肢8:× 意図を曲げるのではなく「届け方を変える」行為とされている。
- 選択肢9:× 一貫より柔軟性が求められる文脈。
- 選択肢10:× 沈黙より「言い換え」が対話をひらく手段とされている。
語句説明:
届け方:相手にどう伝えるかの工夫や配慮のこと。内容より手段が問われる場面で使われる。
【本文の英訳】
“Why don’t they get it?” Maybe they would—if we said it differently. Rewording isn’t weakness. It’s care, creativity, and connection. Saying it again means: I still want you to hear me.