評論文対策問題 095(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
何かしていないと落ち着かない。
空白の時間をもてあまし、スマホをいじったり、作業を探したりしてしまう。
「何もしていない」状態に、どこか罪悪感や不安を感じるのはなぜだろう。
私たちはいつのまにか、「時間は使い切るもの」「常に生産的であるべきだ」という価値観にとらわれているのかもしれない。
だが、本当にそうだろうか。
ただぼんやりと空を見上げる時間や、予定のない午後、意味のない散歩。
そうした「何もしない時間」の中で、ふと浮かんだ考えや感情が、自分の本音に近かったりする。
逆に、何かに没頭している最中には見えなかったことが、ふと立ち止まったときにこそ気づけることもある。
「何もしていない」は、外からはそう見えるだけで、内側では何かがゆっくり動いていることもあるのだ。
何もしない時間とは、何かを得るための“手段”ではなく、ただそのまま“ある”ことを肯定する時間なのではないだろうか。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 何もしない時間は、生産性がなく無意味である。
- 常に予定を詰めることで、心の安定が得られる。
- 空白の時間は、すぐに何かで埋めるべきである。
- 意味のない行動は、時間の無駄でしかない。
- 何かをしていない状態は、人として怠慢である。
- 「何もしない時間」にこそ、自分の本音に気づく可能性がある。
- 無駄のない生き方だけが、現代人の理想である。
- 手を止めた時間には、成長の余地は存在しない。
- 何もしない時間は、ただの暇つぶしにすぎない。
- 外から見えない時間は、評価に値しない。
【正解と解説】
正解:6
- 選択肢1:× 本文では「何もしない時間」に価値があると主張している。
- 選択肢2:× 詰めすぎると「気づき」が得られないと述べられている。
- 選択肢3:× 空白を埋めずに「ゆっくり動く内面」を肯定している。
- 選択肢4:× 意味がなく見えても、「気づきの契機」となる可能性がある。
- 選択肢5:× 怠慢ではなく「あることの肯定」として捉えられている。
- 選択肢6:◎ 「本音に気づく」「何かが動いている」=本文の主張に一致。
- 選択肢7:× 無駄がないだけでは見えないものもあるとされる。
- 選択肢8:× 成長の契機が「立ち止まる中」にあると述べられる。
- 選択肢9:× 暇つぶしではなく「肯定的に過ごす時間」とされている。
- 選択肢10:× 外から見えない時間も「内面では何かが起きている」とされる。
語句説明:
没頭:何かに深く集中し、他を忘れること。本文では「思考が停止しやすい状況」として描かれる。
【本文の英訳】
Doing nothing feels wrong. But in stillness, something stirs. A thought surfaces. A feeling settles. Not all movement is visible. “Doing nothing” is sometimes how we truly begin.