評論文対策問題 094(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
「効率よく生きること」
現代社会では、その能力が高く評価される。
予定を立て、ムダをなくし、すべてを計画通りに進める。
たしかに、安定した生活や成果を出すうえでは重要な力だ。
けれども、その一方で、偶然起こる“予期しない出来事”に出会う余地がどんどん失われてはいないだろうか。
人との出会い、本との偶然の出会い、立ち止まった先にあった景色。
そうした「狙っていないもの」が、思いがけず自分の価値観を揺さぶってくれることがある。
予定を詰めすぎると、そうした「偶然の入り込む隙間」が消えてしまう。
偶然とは、コントロールできないからこそ、新鮮さや驚きをもたらす。
「偶然の価値」を見失わずに生きるとは、「何かが予定通りにいかないこと」にも、意味を感じられる感性を持つことなのかもしれない。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 偶然を避け、計画的にすべてを管理することが理想である。
- 予定外の出来事は、基本的にムダである。
- 偶然の出来事は、不安を生む要因でしかない。
- 偶然は失敗につながるため、極力排除すべきである。
- 偶然には価値がなく、計画がすべてを導く。
- 偶然の出会いやズレを楽しむ感性が、人生を豊かにする。
- 予期せぬ出来事は、予定を乱すだけの存在である。
- 効率を最優先にすることで、人間関係もうまくいく。
- 偶然は合理性の敵であり、避けるべきである。
- 人生に偶然など存在せず、すべては選択の結果である。
【正解と解説】
正解:6
- 選択肢1:× 偶然が入る余地の重要性が説かれている。
- 選択肢2:× 偶然が「価値観を揺さぶる」と肯定的に語られる。
- 選択肢3:× 不安ではなく「新鮮さ・驚き」をもたらすとされる。
- 選択肢4:× 偶然=失敗ではない。むしろ意味あるズレとされる。
- 選択肢5:× 計画だけではなく「偶然とのバランス」が重要とされる。
- 選択肢6:◎ 「偶然を楽しむ感性」=本文の核心主張。
- 選択肢7:× 偶然の中に「出会いや景色」があると肯定される。
- 選択肢8:× 人間関係にも「余白」が必要とされている。
- 選択肢9:× 合理性より「揺らぎ」が尊重される内容。
- 選択肢10:× 偶然という「選択外のもの」が前提で語られる。
語句説明:
余地:何かが入り込むすきま・可能性。本文では「偶然が入り込む余白」の意味で使われている。
【本文の英訳】
We love plans. But life isn’t always plannable. A missed train, a wrong turn, an unexpected book— These moments shake us, shape us. To welcome chance is to stay open to what we didn’t know we needed.