評論文対策問題 092(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
「自然体でいいよ」
「気取らずに、そのままで」
そう言われると、少し気が楽になる一方で、かえって「どうふるまえば自然なのか」わからなくなることがある。
「自然体」という言葉は、一見すると無理をしない、飾らない、ありのままの姿でいることを意味している。
だが実際には、他者の目を意識しながら「自然に見えるように振る舞う」ことも多い。
つまり、「自然体でいよう」と意識した時点で、すでに“演じている”可能性があるのだ。
私たちは、無意識のうちに誰かにとっての“感じのよい自然さ”を演出してしまう。
では、本当の「自然体」とは何か。
それは、無理に素の自分をさらけ出すことでも、逆に気を抜きすぎて不快感を与えることでもない。
「安心できる空間や人との間で、力まずにふるまえる状態」
そんなふうに、環境や関係性によって「自然さ」は形を変えるのではないだろうか。
自然体とは、固定された性格ではなく、「そうなれている状態」なのかもしれない。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 自然体とは、自分の素をどんな場でもさらけ出すことだ。
- 自然体であるには、他人の目を完全に遮断する必要がある。
- 自然体は、意識しなければ誰でも簡単にできる状態である。
- 自然体とは、常に同じふるまいでいることを意味する。
- 自然体でいようと意識することが、本当の自然さを生み出す。
- 自然体とは、気を抜いて周囲への配慮をやめることである。
- 自然体とは、環境や人間関係に応じて自然にふるまえる状態である。
- 自然体とは、社会的役割から完全に離れた自己の姿である。
- 自然体であるには、自分の感情を常に抑える必要がある。
- 自然体とは、自分自身を徹底的に分析しコントロールすることだ。
【正解と解説】
正解:7
- 選択肢1:× 素の自分をさらけ出すことが常に自然体とは限らないとされている。
- 選択肢2:× 他者の目を意識しつつも「力まずにいられる」関係が鍵とされる。
- 選択肢3:× 意識的な演技が「自然体に見せる」原因になると論じられている。
- 選択肢4:× 常に同じではなく、「環境によって変化する」とされる。
- 選択肢5:× 意識することでむしろ“演技”になると指摘されている。
- 選択肢6:× 不快感を与えるほど気を抜くのは自然体ではないとされる。
- 選択肢7:◎ 「環境や関係性に応じて自然に振る舞える状態」=本文の定義と一致。
- 選択肢8:× 社会的役割と無関係ではなく、関係性の中で成り立つとされる。
- 選択肢9:× 感情を抑えるのではなく「安心して力まない」状態が自然体とされる。
- 選択肢10:× 自然体は「演出」や「分析」ではなく、安心感の中で起きる状態とされる。
語句説明:
さらけ出す:包み隠さず、すべてを見せること。本文では“無理にそうすること”の危うさに触れる。
【本文の英訳】
“Just be yourself.” But what does that mean? When we try to be natural, we may start performing. True ease comes in safe spaces— where we don’t have to prove, hide, or impress. Being natural isn’t a trait. It’s a moment we arrive at, not a mask we wear.