評論文対策問題 089(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
「ちゃんと話を聞いてる?」
会話の中で、そんな言葉を投げかけられた経験がある人は多いだろう。
「聞いてるよ」と思っていても、相手からそう言われるということは、こちらが意図せず「聞いていないように見えてしまった」ということだ。
聞くこととは、単に相手の言葉を耳に入れることではない。
相手の表情、声の抑揚、沈黙の長さ——それらすべてを含めて「耳を傾ける」ことが、本当の意味での「聞く」だろう。
そしてそれは、「言っていることを理解する」こととは少し違う。
ときには、相手が言葉にできずにいる「思い」に寄り添う必要もある。
うまく話せない沈黙、伝える勇気を出す前のまごつき、声に出さなかった言葉。
そういった“届いていないように見える思い”に、どれだけ想像を向けられるか。
話を「聞く」とは、情報を受け取ること以上に、「その人と共にいる」という態度そのものなのではないだろうか。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 話を聞くとは、相手の話を一語一句正確に記憶することを指す。
- 話を聞くとは、話の内容よりも自分の意見を優先させることだ。
- 聞く姿勢とは、話し手が沈黙している間は関心を向けないことである。
- 話を聞くとは、相手の言葉に即座に反応して意見を返すことだ。
- 話の内容が理解できれば、それ以上の配慮は必要ない。
- 話を聞くことは、言葉にされていない思いにも想像を向けることである。
- 相手の声を聞くには、背景や性格をすべて知っている必要がある。
- 話を聞くときは、自分の感情を完全に遮断すべきである。
- 本当の傾聴とは、会話を途中で遮って意見を補うことである。
- 話を聞くとは、相手の情報を正しく整理し、記録する仕事である。
【正解と解説】
正解:6
- 選択肢1:× 内容の正確な記憶よりも「気持ちへの寄り添い」が重視されている。
- 選択肢2:× 自分の意見より「相手の思い」が主軸。
- 選択肢3:× 沈黙も「聞く」対象であるとされている。
- 選択肢4:× 即座の反応ではなく「寄り添う姿勢」が求められている。
- 選択肢5:× 理解だけでなく「ともにいる態度」が強調されている。
- 選択肢6:◎ 「言葉にできない思いに想像を向ける」=本文の核心主張。
- 選択肢7:× 背景の完全理解は前提ではなく、想像が大切とされる。
- 選択肢8:× 自分の感情を遮断せず「共にいる」ことが求められている。
- 選択肢9:× 遮るのではなく「黙って待つ」姿勢が語られる。
- 選択肢10:× 記録ではなく「存在の共有」に重きが置かれている。
語句説明:
まごつき:戸惑って動けない様子。本文では言葉になる前の感情として使われている。
【本文の英訳】
“Are you really listening?” Listening isn’t just hearing words. It’s noticing pauses, sighs, and the courage behind silence. To listen is to stay present, not just absorb facts. True listening means being with the speaker—wordless parts included.