評論文対策問題 087(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
私たちは「正しさ」に敏感だ。
特に、誰かが間違えたとき、それをすぐに指摘し、修正しようとする。
もちろん、事実や論理の誤りを放置することにはリスクもある。
だが一方で、「間違えること」そのものに対して過度に厳しくなってはいないだろうか。
間違いは、学びの途中にあるごく自然な現象であり、思考や対話の入り口になることもある。
間違いを恐れて何も言えなくなってしまえば、そこで対話も成長も止まってしまう。
また、人はそれぞれ異なる背景や価値観をもっているからこそ、正しさの基準も一つではない。
一見「間違い」に見える発言も、その人の立場や経験から生まれていることがある。
大切なのは、「間違っているかどうか」よりも、「なぜそのように考えたのか」を丁寧にたずねる姿勢ではないか。
間違いとは、訂正されるべき“欠陥”ではなく、理解を深め合うための“きっかけ”にもなりうるのだ。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 間違いは早急に訂正し、会話の流れを断たないことが重要である。
- 間違いに寛容になりすぎると、学びの質が下がる。
- 異なる考え方は、すべて間違いとして処理するべきである。
- 間違いは、個人の努力不足から生まれるものである。
- 間違った発言を許容することは、正確な議論を妨げる。
- 間違いは、その人の考え方や背景を理解するきっかけになりうる。
- 対話の場では、間違いが起こらないよう事前にすべて調整すべきである。
- 間違いは知識の欠如を示すため、積極的に避けるべきである。
- 相手の間違いを正すことが、信頼関係を築く基本である。
- 学びには正しさが最優先されるべきで、間違いは排除されるべきである。
【正解と解説】
正解:6
- 選択肢1:× 修正よりも「なぜその考えに至ったか」が重視されている。
- 選択肢2:× 間違いを排除しすぎることの弊害が述べられる。
- 選択肢3:× 視点の違い=間違いとは限らないとされている。
- 選択肢4:× 努力不足とはされず、自然な現象とみなされている。
- 選択肢5:× 許容することで「理解」が深まるとされる。
- 選択肢6:◎ 「きっかけになる」が本文の主張と一致。
- 選択肢7:× 間違いの予防ではなく「対話」が重視される。
- 選択肢8:× 知識の欠如ではなく、「背景にある経験」が論じられる。
- 選択肢9:× 正すよりも「理解しようとする姿勢」が大切とされる。
- 選択肢10:× 正しさより「深い理解や対話の促進」が求められる。
語句説明:
たずねる:相手の考えや事情を丁寧に聞き取ること。
【本文の英訳】
We fear mistakes. But a mistake isn’t the end of learning—it’s the start. Wrong answers can open doors to deeper questions. Ask why, not just what’s right. In misunderstanding, we find new understanding.