評論文対策問題 085(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
「答えを早く出すこと」が求められる場面が増えている。
問われたら即答できること、正確に効率よく返すことが、能力の指標のように扱われる。
たしかに、すぐに適切な解を導ける力は、現代社会において重要だ。
だが、「正解を出すこと」だけがすべてだろうか。
答えを急ぐあまり、「なぜそう思ったのか」「どう感じたのか」といったプロセスが見過ごされてしまうことがある。
さらには、「正しい答え」が一つあると思い込むことで、異なる視点や曖昧さを排除してしまう危うさもある。
本来、「問い」とは、すぐに正解を出すためだけにあるのではなく、考えを深め、他者と分かち合うための入口ではなかったか。
すぐに答えが出ないことに価値を見いだし、「問い続けること」に意味を認めること。
それは、「正解」よりも大切な、人との理解や学びを生み出すかもしれない。
迷ったり、立ち止まったりしながら、「正しさ」より「深さ」を求める姿勢が、これからの時代に必要とされているのではないだろうか。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- すばやく正解を出せることが、思考の深さを示す唯一の方法である。
- 答えが一つに決まっている問題ほど、価値が高い。
- 間違った考えを含んだ問いは、無意味である。
- 迷う時間が長いほど、能力が低いと見なされる。
- 問いに対して正解を急がず、考えを深める姿勢が大切である。
- 正解を疑うことは、学びの妨げになる。
- 社会では、すぐに結論を出す習慣を徹底すべきである。
- 考えるよりも、まず答えを暗記することが重要である。
- 曖昧な議論は避け、正解のある話題だけを扱うべきである。
- 問い続けることは、時間の浪費につながる。
【正解と解説】
正解:5
- 選択肢1:× 思考の深さは「すぐに正解を出すこと」だけでは測れない。
- 選択肢2:× 多様な視点や曖昧さが否定されることの危うさが語られる。
- 選択肢3:× 問いに意味があること自体が強調される。
- 選択肢4:× 迷いの時間にこそ学びがあるとされる。
- 選択肢5:◎ 「深さを求める姿勢」が本文の主張と一致。
- 選択肢6:× 正解を疑うことで新たな理解が生まれるとされる。
- 選択肢7:× 結論より「問い続けること」の価値が語られる。
- 選択肢8:× 暗記よりも「プロセス」が大切とされる。
- 選択肢9:× 曖昧さを排除することの危うさが示されている。
- 選択肢10:× 問い続けることにこそ意味があるとされている。
語句説明:
曖昧:はっきりしないこと。不明確さを内包する状態。
【本文の英訳】
These days, quick answers are prized. But answers aren’t everything. Some questions don’t need solving—they need exploring. Not knowing is a start, not a flaw. In delay and doubt, thinking begins.