評論文対策問題 082(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
人生は選択の連続だと言われる。
小さなものから大きなものまで、私たちは日々、いくつもの選択をしている。
そしてそのたびに、「選ばなかったもう一つの道」が生まれていく。
「もしあの時、別の道を選んでいたら…」
そんな思いが頭をよぎることは、誰にでもあるだろう。
後悔、未練、あるいは想像。
選ばなかった道は、決して「消えてなくなる」わけではない。
それは記憶の中で、あるいは想像の中で、別の「もう一つの自分」として生き続ける。
そうした「選ばなかった道」を、私たちはしばしば「失敗」や「間違い」として片づけようとするが、本当にそうだろうか。
その時の自分にできた最善の選択だったと認めることで、選ばなかった道に対しても、敬意や想像力を向けることができるのではないか。
選ばなかった道に意味がなかったのではなく、選んだ道と同じように「その人を形づくる影」として存在している。
自分の過去を肯定するとは、こうした影も引き受けて、今の自分を受け入れていくことなのではないだろうか。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 選ばなかった道は意味がなく、忘れてしまうのが望ましい。
- 人生の選択には常に正解があり、それを外すと失敗となる。
- 後悔を避けるためには、過去を振り返らないことが大切である。
- 選ばなかった道への想像は、現実逃避にしかならない。
- 選ばなかった道も、人生を形づくる一部として意味を持つ。
- 最善の選択でなかった場合、それを悔い続けるべきである。
- 別の道を考えることは、現実に集中できなくなる原因である。
- 選択を誤った場合、すべてをやり直す覚悟が必要である。
- 選ばなかった道は存在せず、選んだものだけが真実である。
- 想像の中の「もう一人の自分」は、現実と混同してはならない。
【正解と解説】
正解:5
- 選択肢1:× 忘れるのではなく「想像し敬意を向ける」ことが主張されている。
- 選択肢2:× 「最善だったと認める」ことで過去を肯定すると述べられている。
- 選択肢3:× 避けるのではなく「引き受ける」ことが重要とされている。
- 選択肢4:× 想像は「もう一人の自分」として意味づけられている。
- 選択肢5:◎ 「人生を形づくる影」として、意味があると明言されている。
- 選択肢6:× 選択を悔い続ける必要はないとされている。
- 選択肢7:× 想像力が否定されておらず、むしろ肯定的に語られている。
- 選択肢8:× やり直すより「受け入れること」に重きが置かれている。
- 選択肢9:× 選ばなかった道も「存在し続ける」とされている。
- 選択肢10:× 混同ではなく「併存」や「敬意」をもって想像することが主張されている。
語句説明:
未練:あきらめきれず、心残りに思う気持ち。
【本文の英訳】
Every choice leaves behind a path not taken. We wonder, “What if?” These other lives we didn’t live still shape us. Not as mistakes, but as shadows of who we could have been. To accept ourselves fully is to carry not just the roads we chose, but the ones we didn’t.