評論文対策問題 081(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
朝起きて、歯を磨き、ご飯を食べて出かける。
私たちは毎日、ほとんど同じような行動を繰り返している。
その「繰り返し」が積み重なって生活となり、人生となる。
だが、その日常は、あまりにも自然であるがゆえに、私たちはそれを「見ていない」ことが多い。
たとえば、毎朝同じ駅の改札を通っているのに、そこに立っている駅員の顔を覚えていない。
毎日聞いているはずの自宅近くの鳥の声に、いつのまにか耳を傾けなくなっている。
日常は、あまりに身近すぎて「風景」となり、注意を向ける対象からこぼれ落ちてしまうのだ。
しかし、だからこそ、意識して見直すことで、思いがけない発見がある。
同じように見える日々の中にも、微細な変化や誰かの気づかいが潜んでいる。
日常とは、「変わらないもの」ではなく、「見えていなかったもの」に目を向けることで、まったく違ったものとして立ち上がってくる。
見直すことで、日常は「新しさ」を取り戻すのではないだろうか。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 日常は変化がないため、深く観察する価値が乏しい。
- 日常は同じことの繰り返しなので、記憶に残りにくい。
- 日常の中には特別なことは起こらず、特別な日を待つ方が有意義である。
- 日常を見直すことで、これまで見えなかった価値や変化に気づける。
- 日常的な出来事は、意識して距離を取った方が良い。
- 日常の風景に慣れることが、生活を楽にする唯一の方法である。
- 意識を向けずに流すことが、日常との健全な関係である。
- 日常の変化に気づくことは、感受性の低下を示している。
- 日常に対する過度な注目は、想像力を妨げる。
- 見直しによって、日常は意味を失うことがある。
【正解と解説】
正解:4
- 選択肢1:× 観察することで価値に気づけると述べられている。
- 選択肢2:× 記憶に残らないことが問題視され、見直す必要が説かれている。
- 選択肢3:× 特別な日の価値ではなく「日常にこそ気づきがある」とされる。
- 選択肢4:◎ 「見えていなかったものに気づく」=本文の中心的主張。
- 選択肢5:× 距離を取るのではなく「意識して見ること」が肯定される。
- 選択肢6:× 慣れではなく「見直し」が勧められている。
- 選択肢7:× 流してしまうことが問題とされている。
- 選択肢8:× 変化に気づくこと=感受性の働きである。
- 選択肢9:× 注目することで新しい意味が生まれるとされる。
- 選択肢10:× 意味を失うどころか「新しさを取り戻す」とされている。
語句説明:
微細:非常に細かく、注意しないと気づきにくいさま。
【本文の英訳】
Wake up. Eat. Go. Repeat. Routine hides in plain sight. But when we look again—really look— we find changes, care, and color. Ordinary life isn't empty. It just waits for us to see it anew.