評論文対策問題 080(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
「何か質問はありますか?」と問われたとき、つい沈黙してしまうことがある。
質問とは、自分が知らないことをさらけ出す行為でもあるからだ。
「こんなこと聞いていいのかな」「常識がないと思われないかな」といった不安が、質問を口にする手前で私たちを躊躇させる。
しかし、そもそも質問とは、知識や情報を得るためだけのものではない。
相手に関心を持っていること、もっと理解したいと思っていることの表れでもある。
ときに、うまく言葉にならない疑問や「答えのない問い」も、相手との関係を深めたり、思考を開いたりする鍵になる。
また、「どうしてそう思ったの?」という問いは、相手の内面や経験に光を当てるきっかけにもなる。
逆に言えば、何も問われないということは、「関心がない」と受け取られることもある。
「質問すること」は、自分を開くことであると同時に、相手に関わろうとする姿勢の表明でもある。
だからこそ、質問することを「恥」ではなく「対話の入り口」として捉え直す必要があるのではないだろうか。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 質問は、知識が足りないことを示すために避けるべきである。
- 質問は、相手を試すために使うのが最も効果的である。
- 質問しないことが、最も礼儀正しい態度である。
- 質問とは、正しい答えを導くための手段に過ぎない。
- 自分の疑問は、まず自分で解決する姿勢が求められる。
- 質問は、自分の無知をさらけ出す危険があるため、慎むべきである。
- 質問とは、相手や物事への関心や対話の意思を表す行為である。
- 質問の有無は、相手との上下関係を決定づける。
- 質問することは、自己主張と矛盾するため避けた方がよい。
- 問いのない関係の方が、信頼は深まりやすい。
【正解と解説】
正解:7
- 選択肢1:× 質問を避ける態度が問題視されている。
- 選択肢2:× 試すのではなく、関心や理解のためとされる。
- 選択肢3:× 礼儀ではなく「対話の入口」として質問が肯定されている。
- 選択肢4:× 答えのない問いも大切とされている。
- 選択肢5:× 自分だけでなく、他者とともに考える契機が重要視されている。
- 選択肢6:× 無知をさらけ出すこと=恥とはされていない。
- 選択肢7:◎ 「関心の表れ」「関係を深める鍵」=本文主張と一致。
- 選択肢8:× 上下関係ではなく、対等な対話の手段とされる。
- 選択肢9:× 質問と主張は両立可能である。
- 選択肢10:× 問いが関係を育むと明言されている。
語句説明:
さらけ出す:隠さずにすべて見せること。
【本文の英訳】
“Any questions?” Silence often follows. But asking isn’t weakness. It’s a way to care, to open, to connect. Even unanswered questions can build bridges. Asking is not ignorance—it’s courage in search of understanding.