評論文対策問題 078(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
「それは違う」と正確に指摘することは、議論や説明の場では重要な姿勢だ。
しかし、正しさを伝えることにばかり集中すると、かえって相手との距離が広がってしまうことがある。
特に、相手が間違いに気づいていないときに、まっすぐに「それは誤りだ」と言われると、防御的になってしまいがちだ。
そんなとき、ユーモアがもつ力は大きい。
冷静に、しかし少し笑いを交えながら「それも面白い考えだけど、こんな見方もあるよ」と伝えることで、相手は自分の立場を守りながらも、新しい視点を受け入れやすくなる。
ユーモアは、場の緊張をほぐし、関係の摩擦をやわらげる「間」のような役割を果たす。
もちろん、笑いを取ること自体が目的になってしまえば、本質がぼやけてしまう。
だが、真剣な話の中にも、ふっと笑える瞬間があることで、会話は呼吸を取り戻し、相手との信頼も築かれていく。
ユーモアとは、正しさを捨てることではなく、それを「伝わる形」に変える柔軟な力なのだ。
正確さと優しさ、そのあいだにユーモアは存在しているのではないだろうか。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 議論においては、笑いや冗談は避けるべきである。
- 正しさは厳しく断定することで、より早く伝わる。
- ユーモアは、本質を曖昧にするため使うものである。
- 間違いを指摘するには、感情を排除することが第一である。
- ユーモアとは、相手の主張を笑い飛ばす技術である。
- ユーモアは、正しさをやわらかく伝えるための手段になり得る。
- 真剣な話に笑いを持ち込むことは、軽薄と見なされる。
- ユーモアを交えると、主張の説得力が必ず下がる。
- 会話の信頼は、ユーモアを排除して築くべきである。
- 相手が防御的なときは、主張を控えるのが最善である。
【正解と解説】
正解:6
- 選択肢1:× ユーモアの価値が主題。排除は否定されている。
- 選択肢2:× 厳しい断定ではなく「伝え方」が重要とされている。
- 選択肢3:× 本質を伝える助けとしてユーモアが肯定されている。
- 選択肢4:× 感情や場の空気への配慮が重視されている。
- 選択肢5:× 笑い飛ばすのではなく、「受け入れやすくする」手段。
- 選択肢6:◎ 「伝わる形に変える柔軟な力」=本文の主張。
- 選択肢7:× 真剣さとユーモアは両立可能とされる。
- 選択肢8:× 説得力が必ず下がるとは述べられていない。
- 選択肢9:× 信頼は「呼吸ある会話」によって築かれるとされる。
- 選択肢10:× ユーモアを使って伝える工夫が求められている。
語句説明:
摩擦:人間関係などでの衝突や緊張。
【本文の英訳】
“That’s wrong.” Saying it bluntly can build walls. But with a touch of humor, even correction becomes connection. Humor doesn’t mean avoiding truth—it shapes it gently. Between being right and being heard, humor creates space for trust. It softens the edge of correctness and lets understanding in.