評論文対策問題 074(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
人は誰でも、自分の考えや行動が「正しい」と信じていたい。
それは、自信や安心の源でもあるし、「正しさ」を持つことが社会的な信頼を得る手段でもある。
しかし、問題はその「正しさ」を他人に押しつけようとする瞬間に生まれる。
自分が正しいと思えば思うほど、相手の意見や感情を「間違い」と断じやすくなり、結果として対話が成り立たなくなる。
ときに、正しい言葉が、ナイフのように相手を傷つけることもある。
また、「正しさ」は立場や価値観、時代によって変化するものであり、一つの基準にすぎない。
にもかかわらず、あたかも絶対的な真理のように「正しさ」を掲げてしまうと、他者との関係性が硬直し、孤立を招くことがある。
だからこそ、「何が正しいか」よりも、「その正しさをどう扱うか」が問われているのではないだろうか。
相手を説得するためではなく、共に考えるために正しさを使うこと。
それが、対立ではなく、理解を生むための出発点になるのではないか。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 正しいことを主張することが、他者との信頼関係を築く最善策である。
- 正しさを明確に示すことで、対話はより効率的になる。
- 正しさを他人に証明することが、対話の基本である。
- 正しさを手放すことが、常に理解を生むわけではない。
- 正しさとは絶対的な価値であり、ぶれるべきではない。
- 正しさの内容より、それをどう扱うかが関係性を左右する。
- 正しさを貫くことで、相手も自然と納得するようになる。
- 正しい主張は、感情よりも優先して伝えるべきである。
- 正しさは自分だけに適用すれば、対話の問題は起こらない。
- 他者との違いは、正しさの対立を防ぐためには無視すべきである。
【正解と解説】
正解:6
- 選択肢1:× 正しさの押しつけが対話を壊すと本文にある。
- 選択肢2:× 効率より「関係性」が重視されている。
- 選択肢3:× 証明ではなく、「共に考える」姿勢が重視される。
- 選択肢4:△ 一部正しいが、主張の中心ではない。
- 選択肢5:× 正しさは相対的なもので変化するという前提がある。
- 選択肢6:◎ 「どう扱うかが関係性を左右する」が本文の主張と一致。
- 選択肢7:× 相手は「自然と納得する」とは限らず、関係が硬直する危険があるとされる。
- 選択肢8:× 感情や関係性も重視されている。
- 選択肢9:× 一方的に使っても対話は成り立たないとされている。
- 選択肢10:× 違いを無視せず、「共に考える」ことが重要視されている。
語句説明:
硬直:かたくこわばること。関係や態度が柔軟性を失う状態。
【本文の英訳】
We all want to be right. But the more we cling to being right, the more we risk shutting others down. Rightness isn’t always connection—it can divide. It's not what’s right that matters most, but how we carry it. When rightness becomes a bridge, not a wall, dialogue begins.