評論文対策問題 073(本文1000字・選択肢10個+英訳)

本文(抜粋)

「それって役に立つの?」という問いかけを耳にすることが多くなった。
勉強でも仕事でも、「どんな成果があるか」「効率的かどうか」が重視され、すぐに役立つものこそが価値あるものとされがちだ。
もちろん、社会や生活に貢献することは大切であり、「役立てたい」という意欲も尊重されるべきだろう。
しかし、「役に立つかどうか」だけで物事を判断しすぎると、見過ごされる価値もある。
たとえば、詩や哲学、美術、散歩や雑談など、一見「役に立たない」と思われがちな行為の中に、人間にとって本質的な意味が隠れていることがある。
また、「今は意味が見えない」からといって切り捨ててしまったことが、後になって深い理解や気づきをもたらすこともある。
私たちの思考や感受性は、すぐに結果が出るものばかりでは育たない。
何かを「無駄」と決めつける前に、その時間や経験がもたらす可能性に目を向ける姿勢が必要なのではないか。
「役に立つかどうか」で価値を測ること自体を問い直すこと。
それが、急ぎすぎる時代において、本当に大切なものを見つける一歩になるのではないだろうか。

【問題】

筆者の主張に最も合致するものを選べ。

  1. 役に立たないものに時間をかけるのは、現代では許されない。
  2. 成果がすぐに出る行為だけを優先すべきである。
  3. 実用性の低い活動は、社会の中で縮小すべきである。
  4. 役立つか否かではなく、経験がもつ可能性に目を向けることが重要である。
  5. 現代では無駄な時間をなくすことが最も望ましい。
  6. 詩や哲学は、役に立たないため不要である。
  7. 役に立つかどうかの視点がなければ、判断基準を持てない。
  8. 役立つ行為以外に意味はないと考えるべきである。
  9. 今の社会では、実用性だけが価値を生む。
  10. 役に立たない経験は、基本的に意味を持たない。
【正解と解説】

正解:4

語句説明:
感受性:物事を感じ取る心の働き。詩や芸術などでよく育まれる。

レベル:共通テスト対策(長文1000字+英訳)|更新:2025-07-23|問題番号:073


【本文の英訳】

“Is this useful?” That question shapes much of modern life. But not all value lies in usefulness. Poetry, art, or quiet walks may seem pointless—but they shape who we are. Some things take time to reveal their worth. Before labeling something as “useless,” we should ask: What unseen value might this hold? Rethinking “usefulness” may help us rediscover what truly matters.