評論文対策問題 070(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
「完璧を目指すこと」は、多くの場面で肯定的に語られる。
勉強でも仕事でも、ミスなく効率的にこなすことが評価され、「完璧であること」は理想とされがちだ。
しかし、完璧を目指すあまり、「失敗してはならない」「欠けていてはいけない」という思いが強くなると、かえって身動きが取れなくなる。
完璧であろうとするほど、自分の弱さや不完全さを否定するようになり、柔軟に考えたり行動したりする余裕がなくなる。
また、他人に対しても「完璧であること」を求めてしまい、わずかなミスや欠点に過剰に反応するようになることもある。
本来、人間は不完全な存在であり、失敗や不足を通じて成長したり、他者との関係を築いたりしている。
不完全であるからこそ、助けを求めたり、補い合ったりできる。
そうした「余白」や「ゆらぎ」を排除することは、人間らしさそのものを削ぎ落としてしまうことにもなりかねない。
完璧さを目指すのは悪いことではないが、それに囚われすぎず、「不完全なままでも関われる関係」や「間違いを許容する場」の大切さも忘れてはならない。
完璧ではない自分を認め、それでも何かに向かっていけるという姿勢にこそ、本当の強さがあるのではないだろうか。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 完璧を目指すことは、すべての場面において最良の選択である。
- 不完全な状態は、人間として避けるべき弱点である。
- 完璧さを他人に求めることで、信頼関係が深まる。
- 失敗を許さない社会が、個人の成長を促す。
- 完璧であることが、人間関係の基礎を築く。
- 不完全なまま関われる関係性にこそ、人間らしさがある。
- 完璧主義を手放すことは、努力を放棄することを意味する。
- 間違いを重ねないためには、常に完璧を追い求める必要がある。
- 完璧でないことを受け入れると、自分に甘くなってしまう。
- 理想を追求するうえで、不完全さは不要である。
【正解と解説】
正解:6
- 選択肢1:× 「囚われすぎると苦しくなる」と本文にある。
- 選択肢2:× 不完全さを「人間らしさ」として肯定している。
- 選択肢3:× 他人に完璧を求めることの弊害が指摘されている。
- 選択肢4:× 失敗を許容することの重要性が説かれている。
- 選択肢5:× 完璧さではなく「補い合い」が関係性の鍵とされている。
- 選択肢6:◎ 「不完全なままでも関われる関係」=本文主張と一致。
- 選択肢7:× 努力の否定ではなく「柔軟な姿勢の肯定」として述べられる。
- 選択肢8:× 常に追い求める必要があるとは言われていない。
- 選択肢9:× 甘えではなく「認めることの強さ」が語られている。
- 選択肢10:× 不完全さを「成長や関係の入口」として肯定している。
語句説明:
余白:意図的に空けられた空間。ここでは未完成さや柔軟性の象徴。
【本文の英訳】
Striving for perfection sounds admirable. But when we fear imperfection, we stop growing. Trying to be flawless can block flexibility, trust, and connection. We grow through mistakes. We connect through what we lack. True strength lies not in being perfect, but in moving forward while accepting our flaws.