評論文対策問題 068(本文1000字・選択肢10個+英訳)

本文(抜粋)

「私もそれ好き!」「似てるね」と言われると、なんとなく安心する。
初対面の相手と距離を縮めたいとき、共通点を探して話すのは自然なことだ。
共通の趣味、出身地、経験などを共有することで、「この人はわかってくれそう」と感じられる。
だが、その「共通点」ばかりに頼りすぎると、逆に見落としてしまうものもある。
共通点を見つけることで「安心」は得られるが、それは「違い」から目をそらす口実にもなり得るのだ。
特に、議論や対話において「私も同じです」と早々に言ってしまうと、実は微妙に異なる意見や価値観を深める前に対話が終わってしまうことがある。
また、「違う」ということを素直に表明することが、時として気まずさや誤解につながるという不安から、つい「似てるふり」をしてしまう。
だが、他者との違いにこそ、学びや発見があるのではないか。
「違い」を受け止め、それでも関係を保とうとすることこそが、本当の信頼や対話の出発点なのではないか。
共通点はきっかけとしては便利だが、「違っても大丈夫」と思える関係性こそが、豊かな理解を育てるのではないだろうか。

【問題】

筆者の主張に最も合致するものを選べ。

  1. 人間関係においては、できる限り共通点を探すべきである。
  2. 「違い」を強調することは、対話において避けた方がよい。
  3. 「似ていること」が信頼の唯一の前提である。
  4. 価値観が異なる者同士は、理解し合うことが困難である。
  5. 共通点を見つけることで、必ず深い理解が生まれる。
  6. 「違っても関われる」関係性が、より豊かな対話を生む。
  7. 違いにこだわるより、できるだけ一致点に集中すべきである。
  8. 共通点を見つけない関係性には、信頼が育たない。
  9. 自分との違いを避けることで、無用な衝突を避けられる。
  10. 違いを主張することは、関係性を壊す危険が高い。
【正解と解説】

正解:6

語句説明:
対話:互いの考えや立場を理解し合おうとする会話。討論とは異なる。

レベル:共通テスト対策(長文1000字+英訳)|更新:2025-07-23|問題番号:068


【本文の英訳】

“I like that too!” Finding common ground often feels safe. But too much focus on similarity can hide what truly matters: our differences. When we pretend to agree, we miss the chance to understand what sets us apart. True connection comes not from sameness, but from staying close even when we differ. “It’s okay to disagree”—that’s where rich dialogue begins.