評論文対策問題 067(本文1000字・選択肢10個+英訳)
本文(抜粋)
「そんなことしたら、どう思われるか分からないよ」「人の目を気にしすぎじゃない?」
日常の中で、私たちは「他人の視線」を意識せずにはいられない。
他者からどう見られているか、どう評価されているかが、自分の行動や感情に影響を与えることは多い。
それは時に自分を抑圧するが、一方で、「他人の目」があるからこそ自分を律したり、社会性を保てたりする面もある。
他者の視線は、「外部からの制約」であると同時に、「自分を形づくる鏡」でもあるのだ。
しかし、他人の視線に過剰に縛られると、「本当の自分」が何なのか分からなくなる。
SNSでの「いいね」の数や評価に依存しすぎると、自分の感情よりも「他人にどう見られるか」が優先される。
それが積み重なると、「自分はこう思う」という感覚そのものが希薄になる。
では、「他人の目から自由になる」とはどういうことだろうか。
完全に気にしないことではなく、「見られていることを知ったうえで、それでも自分の軸を持ち続けること」なのではないか。
他人の視線を否定するのではなく、それと共存しながら、自分の声を失わずにいること。
そこに、現代における自己形成のヒントがあるのではないだろうか。
【問題】
筆者の主張に最も合致するものを選べ。
- 他人の視線を完全に遮断することが、本当の自分を見つける道である。
- 他人の目を気にすることは、社会にとっても個人にとっても有害である。
- 評価を気にせずに自己主張を貫くことが、現代における理想である。
- 他人の視線は、自分らしさを保つうえで常に障害になる。
- SNSなどの他者評価は、自己形成を助ける客観的手段である。
- 他人の目と距離をとることは、自分を社会から孤立させることにつながる。
- 他人の視線と共存しながら、自分の軸を失わないことが重要である。
- 自己形成は完全な孤独の中でこそ成立する。
- 見られていることを忘れることで、ようやく自分らしくなれる。
- 社会的評価に適応することこそ、成熟した自己形成である。
【正解と解説】
正解:7
- 選択肢1:× 完全に遮断するのではなく「共存しながら」が本文の立場。
- 選択肢2:× 有害とは断じられておらず、役割も肯定されている。
- 選択肢3:× 自己主張だけでなく「共存」がキーワードとなっている。
- 選択肢4:× 障害ではなく「鏡」としての側面もあるとされている。
- 選択肢5:× 他者評価に依存しすぎることが問題とされている。
- 選択肢6:× 他人の目を否定せず「共にある」ことが重視されている。
- 選択肢7:◎ 「共存しながら自分の軸を保つ」=本文の最終主張。
- 選択肢8:× 孤独の中ではなく「他者との関係を前提」として論じられている。
- 選択肢9:× 忘れることではなく「見られていることを知ったうえで」がキーワード。
- 選択肢10:× 適応よりも「自分の声を失わないこと」が重視されている。
語句説明:
自己形成:自分の性格・価値観・行動様式を築き上げていく過程。
【本文の英訳】
“What will people think?” We're constantly aware of others' eyes. Being seen shapes how we act, sometimes suppressing us, but also helping us stay connected. Still, if we care too much, we lose our own sense of self. The goal isn't to ignore others, but to live with their gaze and still hold onto our core. Being yourself isn’t about escaping others—it’s about standing firm while being seen.